(2020年3月3日編集)(2023年4月18日再編集)

結論:調査通知後(更正の予知無しに限る)にすぐさま自主修正申告すれば過少申告加算税は課かるものの修正した年度は重加算税は回避できます!

国税通則法が平成28年(2016年)に改正され、平成29年1月以降に法定申告期限が到来するものについては改正後の国税通則法が適用されるため、調査通知後(更正の予知無しに限る)にすぐさま自主修正申告をしても過少申告加算税は課されるようになりました。しかし、改正後の国税通則法が適用される年度であっても

①調査通知後であるが
②調査通知の段階では更正の予知は無く
③調査開始、つまり調査の初日までに過去7年分自主修正申告を済ました

のであれば、最長で7年間調査があったとしても重加算税は回避できます。これは裏技でもマル秘テクニックでもマジックでもなんでもありません。後述しますが、しっかりと国税通則法に明記されております。

国税通則法平成28(2016)年改正後も、重加算税回避については影響なし!

・この論点についてネットや書籍で誤った解説がされていることが散見されます。

・よくある誤った解説が、「国税通則法が平成28年(2016年)に改正され、平成29年1月以降に法定申告期限が到来するものについては改正後の国税通則法が適用されるため、調査通知後かつ調査初日までにすぐさま自主修正申告を提出しても過少申告加算税を課されます。過少申告加算税が課されるということは、隠蔽仮装がある場合は過少申告加算税に代えて重加算税が課されるということです」、というような解説です。しかし、これは誤った情報です

旧国税通則法と新国税通則法の比較による解説

改正前旧国税通則法

・旧68条1項(編集加工済み)
旧65条第1項に該当する場合(旧65条5項の場合は除く)において、隠ぺい仮装に基づき申告書を提出していたときは、過少申告加算税に代え重加算税を課する。
・旧65条1項(編集加工済み)
期限内申告をしていたが、修正申告の提出又は更正があった時は過少申告加算税を課する。
・旧65条5項(編集加工済み)
旧65条1項は、調査後の更正や調査通知時の更正の予知によって提出されたものでないときは適用しない(つまり調査通知前や調査通知後でも更正の予知無しで調査初日までに提出された自主修正申告には過少申告加算税は課さない)。

まとめると、旧68条1項によると、旧65条1項に該当する場合は過少申告加算税に代えて重加算税を課するが、旧65条1項に該当しても旧65条5項により調査前や調査通知後でも更正の予知無しで調査初日までに提出された自主修正申告に場合は除く、ということになります。

改正後新国税通則法

・新65条1項

・新65条5項

・新68条1項

・新65条1項(編集加工済み)
修正申告の提出が調査通知後で更正の予知なしの場合は5%の過少申告加算税を課す。
・新65条5項(編集加工済み)
新65条1項は修正申告の提出が、調査通知前である場合には適用しない。
・新68条1項(編集加工済み)
新65条1項の過少申告加算税の規定に該当する場合(ただし修正申告の提出が、調査があったことや更正の予知があったことにより提出されたものでない場合は除かれる)において隠ぺい仮装に基づき納税申告書を提出している場合は、過少申告加算税に代え重加算税を課す。→つまり読み替えると、調査通知後でも更正の予知がなく調査の初日までに自主修正申告を提出した場合は、過少申告加算税は課されるけれども過少申告加算税に代えて重加算税を課すことはない、ということです。

隠ぺい仮装脱税行為に心当たりのある方は調査通知があればすぐに過去7年間の自主修正申告を行い重加算税を回避しましょう!

このページをお読みになっておられる方の中には、隠ぺい仮装脱税行為に心当たりがある方がおられるかもしれません。もし調査通知が来たのであれば、過去のことは改めて調査通知までに自主修正申告をして重加算税を回避しましょう。

更正の予知無しが大前提です!

上記の重加算税回避のための自主修正申告は、調査通知の電話の時点で「更正の予知が無いこと」が大前提となっております。更正の予知があった場合は該当しません。

更正の予知につきましては「更正の予知とは?」のページで解説しております。

 

過少申告かつ偽りその他不正の行為、隠ぺい仮装に心当たりがある方で調査通知があった方、あきらめないでください、調査通知後から調査日の前日までに自主修正申告をすれば重加算税を回避できることが国税通則法第68条1項に定義づけられています!(こちらの解説ページをご参考ください)

税務署から電話があっても慌てないでください!調査開始前であればまだ対応策は残されております。弊所にご連絡ください!