(2023年11月22日作成)

結論

・意図的にプライベート家事費等の事業無関係費用を過大計上して確定申告書を提出する行為は、隠ぺい仮装には該当しない可能性があります(弊所独自の見解であり保証するものではありません)
・根拠1、意図的にプライベート家事費等の事業無関係費用を過大計上することについては、所得税法及び法人税法の重加算税の取り扱いについての事務運営指針における隠ぺい仮装としての例示はありません。
・根拠2、意図的にプライベート家事費等の事業無関係費用を過大計上しても隠ぺい仮装には該当しないとした裁決が存在しています。
・根拠3、ネットで「家事費 重加算税」と検索してもそもそも言及されている記事が存在しませんでした。
・根拠4、八ツ尾順一『第7版事例から見る重加算税の研究』p164においては家事関連費の支出に偽造がある場合は重加算税が課税された事例の紹介がありました。つまり偽造、改ざんが伴うことが要件となると解されます。

下記において解説いたします。

根拠1、意図的にプライベート家事費等の事業無関係費用を過大計上することについては、所得税法及び法人税法の重加算税の取り扱いについての事務運営指針における隠ぺい仮装としての例示はありません。

事務運営指針についてはこちらをご覧ください。

重加算税の取り扱いについての事務運営指針とは

繰り返しとなりますが、見ていただいた通り、事業無関係費用の経費過大計上については、隠ぺい仮装行為として例示されておりません。

ただ例示されていないことがすなわち絶対に隠ぺい仮装に該当しないとは言い切れないと解されます。

根拠2、意図的にプライベート家事費等の事業無関係費用を過大計上しても隠ぺい仮装には該当しないとした裁決が存在しています。

こちらが当該裁決となります。

令和3年3月24日裁決(令和3年虚偽支払調書の作成は隠ぺい仮装を認め事業無関係費用の過大計上は隠ぺい仮装を認めなかった裁決)

当該裁決の要約
・ホステスである請求人は、税理士無資格者Hに確定申告の依頼をした。
・Hは請求人について虚偽支払調書を作成した。
・Hは請求人の事業無関係の費用を過大計上した。
・国税不服審判所は以下のように判断した
◎Hの行為は請求人の行為と同一視できる
◎虚偽支払調書を作成は隠ぺい仮装を認める
◎事業無関係の費用を過大計上したことについては隠ぺい仮装を認めない

当該裁決において、「残存している平成30年分の請求人の領収書だけでも、旅行代金やテーマパークでの支払、ファーストフード店等での飲食費、日用品や請求人の子の学校関連の支払など明らかに事業と関連性のないものが多数含まれており、これらの領収書類の全てが、請求人がHに渡したと認められる」としましたが、結果的にこれらの行為については隠ぺい仮装は無かったとされました。

根拠3、ネットで「家事費 重加算税」と検索してもそもそも言及されている記事が存在しませんでした。

他の税理士のブログ等から情報を取集しようとしましたが、

・家事費 重加算税
・家事費 重加算税 事例
・事業無関係の費用 重加算税

などを検索しましたが、そもそも当該論点について言及されている記事が見受けられませんでした。

根拠4、八ツ尾順一『第7版事例から見る重加算税の研究』p164においては家事関連費の支出に偽造がある場合は重加算税が課税された事例の紹介がありました。つまり偽造、改ざんが伴うことが要件となると解されます。

八ツ尾順一『第7版事例から見る重加算税の研究』p164において、下記の記述がありました。

家事関連費の支出を事業所得の給与として処理した場合には、重加算税の対象となるとした事例(広島高裁平成9年7月18日判決)

◎要旨
病院の事務長の母宅の家政婦が、病院の清掃業務に従事したことはほとんどなかったか、あるいは仮にあったとしても、定期的なものではなく、時間・回数ともに稀なものであったにもかかわらず、事務長が、右家政婦に係る出勤簿を偽造し、清掃業務に従事したかのように仮装して給料名目の金員を支払い、事業所得の金額の計算上必要経費として所得金額を過少に計算したことは、重加算税の賦課要件に該当するとの判断を示した。

あくまで「今回は出勤簿を偽造していたため」に隠ぺい仮装に該当し、重加算税賦課要件に該当するとされたと解されます。

まとめ

・意図的にプライベート家事費等の事業無関係費用を過大計上して確定申告書を提出する行為は、隠ぺい仮装には該当しない可能性があります(弊所独自の見解であり保証するものではありません)

・従いまして、当該ページに該当するような方で、税務調査を受けておられる最中であったり、重加算税賦課処分を受けた方である場合は、再調査の請求や審査請求をすれば重加算税賦課が取り消される可能性があります(弊所独自の見解であり保証するものではありません)