(2019年6月2日作成)(2023年7月20日再編集)

結論

あまり難しく考えず、一般常識も踏まえて考えればよいのかもしれませんが、

税務署調査官は出世のために重加算税を賦課できる案件を効率よく案件をさばくことを目標としていると考えられます

弊所にはOB税理士が在籍しておりませんので、税務署を含めた国税の内部事情の実際はわかりかねます。しかし、書籍やネットの情報から分析すると、

・調査に通帳税額金額のノルマは無いが、調査件数のノルマはある説
・調査に追徴税額金額のノルマも調査件数のノルマもある説

が存在します。

また事実として起こった事件として

調査官が「脱税行為を指摘すれば評価が上がり出世できると思った」と話した広島国税局・偽課税通知書作成事件

が存在します。

情報元まとめ

・女性で2000年代くらいまで税務署勤務されていた元国税調査官OB税理士I・Mさんが執筆された書籍の初版→調査に金額のノルマは無いが、調査件数のノルマはある、申告是認だと調査件数にカウントされない、との記述がありました。調査官は税金をたくさん取ってきた者が出世するかという質問の答えはそうとは限らない、との記述がありました。一方で、実務能力が出世に関係ないかというとそうとも言い切れない、なぜかというと、税務署でキャリアアップするためには税務大学校で「研修を」うける必要がある、研修を受けるためには「選考試験に合格」しなければなりません、選考試験に合格するには記述及仕事の成果が評価の対象となるため、そういう意味で、増差税額の多寡も出世に関係すると言えるかもしれない、との記述がありました。

・男性で1990年代くらいまで税務署勤務されていた元国税調査官O・Dさんが執筆された書籍→国税当局は正式には認めていませんが、税務署を含む国税局の調査官には事実上のノルマがあり、年間に何件調査しなければならない、年間にいくら以上追徴課税を稼がなくてはならないというものです、との記述がありました。

・男性で2000年代に国税庁勤務されていたのK・Yさんが執筆された書籍→追徴税額にはノルマはないが、税務調査件数のノルマはある、増差所得で評価され昇進・昇格に影響があり、不正発見割合が高いと出世できる、との記述がありました。

・ネット上の情報→増差金額及び追徴税額にノルマは無いが、調査件数にノルマはある、という記述が多く見受けられました。

・弊所の見解→どのような仕事であってもミスなく効率よく仕事をさばく人を組織は評価するわけだから、金額及び件数の目標がありそれが結果としてノルマとなるのではないでしょうか。ミスなく効率よく仕事をさばく人は評価されるわけだから当然出世するのではないでしょうか(ただ、社内政治、署内政治などのファクターもあるでしょう)。

女性で2000年代くらいまで税務署勤務されていた元国税調査官OB税理士I・Mさんが執筆された書籍の初版

当該女性のOB税理士さんの書籍においては、ノルマとその影響による出世の関係性は、あるかもしれないとのことだった。ただ書籍を読んでいて抱いた感想としてはこの方自身がそこまで出世に対して貪欲ではなさそうでしたので出世に貪欲な人たちに触れておられなかったのではないかと想像しました。国税庁、国税局、税務署、全体で全国に約5万6千人の職員がおられるので、色々な方々がおられるので一概には言えないような印象を受けました。

申告是認だと調査件数にカウントされない、というのは興味深いです。

男性で1990年代くらいまで税務署勤務されていた元国税調査官O・Dさんが執筆された書籍

O・Dさん曰く、国税は公式には決して認めないが、調査官にはノルマあるそうです。

・税務調査件数のノルマ

国税調査官も民間企業の営業マンのように上司からノルマを課せられるそうです。ただ決して公式に、表向きに課すノルマではなく暗黙の了解のような雰囲気だそうです。まずは年間に実施すべき税務調査件数のノルマがあるそうで、これが年間30~40件だそうです。そうなると1週間で1件の税務調査がノルマとなります。

・追徴税額のノルマ

件数はもちろんのこと、追徴課税という結果に対してのノルマを存在するようで、それが達成できないと給料泥棒呼ばわりされてしまうそうです。

・税務調査官は納税者の不正が大好物だそうです

税務調査官が税務調査を行ったが追徴課税額が全く出ないことを申告是認と呼びます。この場合、税務調査の調査官は非常に苦痛を感じるそうです。まるで、契約が1件も取れなかった営業マンのように。申告是認=納税者が適正・適切な正しい税務申告を行っていた、ということなので本来であれば喜ばしいこと以外のなにものでもないはずです。しかし、税務調査官にとっては出世が遠のいたり、上司から嫌味を言われたり散々なようです。反対に税務調査官は申告誤りを発見するとほめられるそうです。申告誤りには2種類あり、単なるうっかりミスによるものと不正によるものです。うっかりミスによる申告誤りを発見しても追徴税額及び10%の割増税額を徴収できるので、よくやったとほめられることになります。更に不正による申告誤りを発見すれば追徴税額及び35%の割増税額を徴収できるので、大変よくできましたとほめてもらえるそうです。

・税務署の税務調査官は大人しい納税者が大好物!?

以上より、税務署の税務調査官は不正を暴く正義の人、ではなく税金がたくさん取れればよいそうです。よって税務署にとって好ましい納税者というのは大人しくて何でも言うことを聞いてくれる大人しい納税者が大好きだそうです。

・O・Dさんの書籍に対する弊所の考え方

このO・Dさんが税務署に在籍しておられたのはプロフィールによれば「まさに昭和時代」の税務署です。この時代は、パワハラ、セクハラ、ブラック企業、コンプライアンス、などの言葉が無かった時代と思います。当時はネットやSNSも無いでしょうから、法的根拠もなく乱暴なことをしていてもばれなかったと思われます。2010年以降のスマホの普及等によるネット社会で、ここ5~10年の事情とは大きく異なっていると予想できます。以上からこのBさんの意見はあくまで昔の話の参考程度にとどめておいた方が良いかもしれません。

男性で2000年代に国税庁勤務されていたのK・Yさんが執筆された書籍

追徴税額にはノルマはないが、税務調査件数のノルマはある、増差所得で評価され昇進・昇格に影響があり、不正発見割合が高いと出世できる、との記述がありました。

ネット上の情報

増差金額及び追徴税額にノルマは無いが、調査件数にノルマはある、という記述が多く見受けられました。

調査官が「脱税行為を指摘すれば評価が上がり出世できると思った」と話した広島国税局・偽課税通知書作成事件

 

税務調査官が目指す成績

・税務調査達成件数1件で追徴税額1億円(1件×1億)の成績の調査官A
・税務調査達成件数100件で追徴税額1億円(100件×100万円)の成績の調査官B

税務署の調査官は「上記のB」を目指していると考えられます。ラッキーでゲットした1件の高額追徴税額よりも、効率よく件数をさばき、さらに高額追徴税額を達成した調査官が評価されるのは当然でしょう。

税務署調査官の大好物の納税者のランキング(弊所独自の見解)

1位:不正をした納税者で重加算税賦課等に対して従順であり修正申告に応じる納税者
2位:不正無しの納税者で加算税賦課等に対して従順であり修正申告に応じる納税者
3位:不正をした納税者だが重加算税賦課等に対して取消交渉を求める納税者
4位:不正無しの納税者で加算税賦課等に対して減額交渉を求める納税者

上記の1位に関しては当然と考えられます。しかし、2位と3位はどうでしょうか。「1位の不正をした納税者で重加算税賦課等に対して従順であり修正申告に応じる納税者」がひるがえって「ごねる」とおそらく、3位の不正をした納税者だが重加算税賦課等に対して取消交渉を求める納税者までランクダウンします。加算税の金額は少額だが従順な2位の方が税務署調査官は好むでしょう。

つまり、税務署調査官は不正をしてくれた納税者は大好物だが、そこからごねる納税者は嫌いになっていく

税務調査官の狙いを踏まえれば、調査開始後の交渉については税務調査を妨害しない範囲でごねることが、調査開始後の唯一の防御策かもしれません

・税務署調査官は追徴税額を狙っている
・それと同時に早期終了も狙っており、長期化は望んでいない

これらのことを踏まえると

・判断が明らかな部分についてごねることは妨害として望ましくないが、税務調査官は長期化及び修正申告ではない更正を嫌がるので、判断が曖昧な部分についてはなるべくごねることが防御策になるかもしれません。

 

過少申告かつ偽りその他不正の行為、隠ぺい仮装に心当たりがある方で調査通知があった方、あきらめないでください、調査通知後から調査日の前日までに自主修正申告をすれば重加算税を回避できることが国税通則法第68条1項に定義づけられています!(こちらの解説ページをご参考ください)

税務署から電話があっても慌てないでください!調査開始前であればまだ対応策は残されております。弊所にご連絡ください!