(2024年4月23日作成)

結論

・平成25年以降はみなさんがイメージするような荒っぽくて理不尽で無理やりで無茶苦茶な税務調査は、大幅に減少していると解されます。
・近年の国民の公務員に対する風当たりは強く、SNS等の普及により公務員である税務調査官が荒っぽい税務調査を行ったことが明らかになればたちまち炎上するため、むしろ税務調査官は国民を恐れていると解されます。
・平成25年以降は、調査手続の実施に当たっての基本的な考え方等について(事務運営指針)において、調査と行政区分の違いを明らかにすることなど、「調査」を明確にすべきというお達しがあり、勝手に調査が始まるなどあり得ません。
・平成25年以降は、調査通知・事前通知が明文化されており、勝手に調査が始まるなどはあり得ません。
・平成25年以降は、無予告調査の規定が明文化されており、調査官の裁量で勝手に無予告調査が始まるなどはあり得ません。
・平成25年以降は、重加算税の理由付記が明文化され、昔に比べれば理不尽な重加算税は減少したと解されますが、現在も理不尽な重加算税は存在すると解されます。
・平成25年以降は、調査の手続きが厳格化されたため、税務調査官は質問応答記録書を好んで作成する傾向にあり、現在も理不尽な重加算税は存在すると解されます。

下記で詳細を記述します。

平成25年以降はみなさんがイメージするような荒っぽくて理不尽で無理やりで無茶苦茶な税務調査は、大幅に減少していると解される理由

公務員である税務署の調査官は納税者である国民をむしろ恐れていると解されます

みなさんの税務調査に対するイメージは下記のようでしょうか?

・税務署の職員がいきなり勝手にやってくる
・税務署の職員がいきなり勝手にやってはこないけれども、電話で「調査に行く」と荒っぽく伝えられる
・調査の当日はなんでもかんでも聞かれる、ひどいときには暴言を吐かれる、帳簿を勝手にいろいろ見られる
・とにかくなんでも不正扱いにして重加算税を賦課しようとする、反論してもすべては言い訳とされる

などのイメージでしょうか?確かに昔は上記のようなことは存在したかもしれません。しかし現代においては異なっていると解されます。

・公務員が法律に基づかない勝手な行為を国民に対して行えばすぐさまクレームとなる。当該クレームはSNS等で拡散され無視できない声となる。
・公務員が法律に基づかない勝手な行為を国民に対して行えばむしろ当該公務員のほうが懲罰をうける。

どうでしょうか?おそらく現代においてはこのように解されます。また下記に記述しますが、税務調査の手順は法的に明文化され、手続きが厳格となっています。

平成25年以降は、調査手続の実施に当たっての基本的な考え方等について(事務運営指針)において、調査と行政区分の違いを明らかにされている

調査手続の実施に当たっての基本的な考え方等について(事務運営指針)改正 令和5年11月29日より、

第2章 基本的な事務手続及び留意事項
1 調査と行政指導の区分の明示
納税義務者等に対し調査又は行政指導に当たる行為を行う際は、対面、電話、書面等の態様を問わず、いずれの事務として行うかを明示した上で、それぞれの行為を法令等に基づき適正に行う
(注)
1 調査とは、国税(法第74条の2から法第74条の6までに掲げる税目に限る。)に関する法律の規定に基づき、特定の納税義務者の課税標準等又は税額等を認定する目的その他国税に関する法律に基づく処分を行う目的で当該職員が行う一連の行 為(証拠資料の収集、要件事実の認定、法令の解釈適用など)をいうことに留意する(「手続通達」(平成24年9月12日付課総5-9ほか9課共同「国税通則法第7章の2(国税の調査)等関係通達」(法令解釈通達)をいう。以下同じ。)1-1)。
2 当該職員が行う行為であって、特定の納税義務者の課税標準等又は税額等を認定する目的で行う行為に至らないものは、調査には該当しないことに留意する(手続通達1-2)。

上記のように、調査、については明文化されています。

平成25年以降は、調査通知・事前通知が明文化されており、勝手に調査が始まるなどはあり得ません

こちらのページをご参考ください。

事前通知と調査通知の違いとは

現在においては、事前通知、調査通知が明文化されております。勝手に調査が始まるようなことはありません。

平成25年以降は、無予告調査の規定が明文化されており、調査官の裁量で勝手に無予告調査が始まるなどはあり得ません

こちらのページをご参考ください。

現在は無予告調査が明文化されていることについて

現在においては、無予告調査の要件が明文化されております。勝手に調査が始まるようなことはありません。

平成25年以降も残る理不尽な税務調査について

では理不尽な調査というものは無くなったのでしょうか?弊所の見解は下記となります。

・調査の手順、手続き等のシステムについてはかつてのような理不尽さは無くなった
・しかし、重加算税の賦課や質問応答記録書の作成についての理不尽は存在しております。

こちらのページをご参考ください。

現在は理由付記の法整備が拡充されていることについて
理由付記の拡充により登場した質問応答記録書について

まとめ

税務調査官の態度や行動や言動に関してはかつての荒っぽい理不尽さは減少したと思われますが、理不尽な税務調査は現在も存在すると解されます。