(2020年4月6日作成)(2023年7月27日編集)(2024年4月22日編集)

結論

・税務調査日の日程を変更することは法的に認められています
・根拠は法律及び通達となります。
・日程を変更するための合理的な理由については、税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)問16は、通達の内容をなぞっただけとなり、参考になりませんでした。
・日程を変更するための合理的な理由について、税務調査手続に関するFAQ(職員用)によれば、単なる多忙は合理的な理由とはならない、としていました。
・ネット情報によれば、日程を変更するための合理的な理由については、都合が悪くなったという主張で良い、とありますがやや疑義があります。
・日程変更の申出が事前自主修正申告のためであると調査官が感づいた場合は、調査開始を早める可能性があるため気を付けましょう。
・以上を総合勘案し、あくまで弊所にご依頼いただく前提での日程変更申出の主張順位は、第一順位は、税務調査を受ける体制を整えるための帳簿や資料の準備が当初の見込みより時間がかかるから、それでも調査官が認めない場合の第二順位は、税理士に依頼することにしたのでその税理士が日程変更を希望しているから、となります。

以下で記述します。

税務調査の日程を変更したりずらしたりすることができるのかについて法律及び通達

まず国税通則法第74条の9の2項により、「納税者から合理的な理由を付して調査日時又は調査場所について変更するよう求めがあった場合には協議するよう努めるもの」と明確に規定があります。

合理的な理由についは通達5-6において定められており、分解して解釈すると下記の場合に列挙できます。

第4章 法第74条の9~法第74条の11関係(事前通知及び調査の終了の際の手続)
第2節 事前通知に関する事項
5-6(事前通知した日時等の変更に係る合理的な理由)
・納税者の病気・怪我等による一時的な入院
・税務代理人の病気・怪我等による一時的な入院
・納税者の親族の葬儀等の一身上のやむを得ない事情
・税務代理人の親族の葬儀等の一身上のやむを得ない事情
・納税義務者の業務上やむを得ない事情
税務代理人の業務上やむを得ない事情

ただ「やむを得ない事情」について疑義が残りますが、それを追求するとなると通達の通達という無限ループとなりますので個別に判断されることになります。

<参考>
国税通則法第七十四条の九 税務署長等(国税庁長官、国税局長若しくは税務署長又は税関長をいう。以下第七十四条の十一(調査の終了の際の手続)までにおいて同じ。)は、国税庁等又は税関の当該職員(以下同条までにおいて「当該職員」という。)に納税義務者に対し実地の調査(税関の当該職員が行う調査にあつては、消費税等の課税物件の保税地域からの引取り後に行うものに限る。以下同条までにおいて同じ。)において第七十四条の二から第七十四条の六まで(当該職員の質問検査権)の規定による質問、検査又は提示若しくは提出の要求(以下「質問検査等」という。)を行わせる場合には、あらかじめ、当該納税義務者(当該納税義務者について税務代理人がある場合には、当該税務代理人を含む。)に対し、その旨及び次に掲げる事項を通知するものとする。

一 質問検査等を行う実地の調査(以下この条において単に「調査」という。)を開始する日時
二 調査を行う場所
三 調査の目的
四 調査の対象となる税目
五 調査の対象となる期間
六 調査の対象となる帳簿書類その他の物件
七 その他調査の適正かつ円滑な実施に必要なものとして政令で定める事項
2 税務署長等は、前項の規定による通知を受けた納税義務者から合理的な理由を付して同項第一号又は第二号に掲げる事項について変更するよう求めがあつた場合には、当該事項について協議するよう努めるものとする。

<通達>(事前通知した日時等の変更に係る合理的な理由)

5-6 法第74条の9第2項の規定の適用に当たり、調査を開始する日時又は調査を行う場所の変更を求める理由が合理的であるか否かは、個々の事案における事実関係に即して、当該納税義務者の私的利益と実地の調査の適正かつ円滑な実施の必要性という行政目的とを比較衡量の上判断するが、例えば、納税義務者等(税務代理人を含む以下、5-6において同じ。)の病気・怪我等による一時的な入院親族の葬儀等の一身上のやむを得ない事情納税義務者等業務上やむを得ない事情がある場合は、合理的な理由があるものとして取り扱うことに留意する。

税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)問16は通達の内容をなぞったような内容でした

国税庁がホームページで公開している税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)の問16において税務調査の日程変更について言及されています。

・例えば一時的な入院、親族の葬儀、業務上やむを得ない事情が生じた場合等には申し出ていただければ変更を協議します。
・例示した場合以外でも理由が合理的と考えられれば変更を協議します

ここにおいては「例示の場合以外でも合理的な理由があれば変更可能」と明記されておりました。またしても「合理的な理由とは?」という疑義が生じますが、個別的な判断にゆだねられるようです。

<参考>
問16 事前通知を受けた調査開始日時については、どのような場合に変更してもらえるのですか。
税務調査の事前通知に際しては、あらかじめ納税者の方や税務代理人の方のご都合をお尋ねすることとしていますので、その時点でご都合が悪い日時が分かっている場合には、お申し出ください。お申し出のあったご都合や申告業務、決算業務等の納税者の方や税務代理人の方の事務の繁閑にも配慮して、調査開始日時を調整することとしています。
また、事前通知後においても、通知した日時について、例えば、一時的な入院、親族の葬儀、業務上やむを得ない事情が生じた場合等には、申し出ていただければ変更を協議します。
なお、例示した場合以外でも、理由が合理的と考えられれば変更を協議しますので、調査担当者までお申し出ください。

税務調査手続に関するFAQ(職員用)

青木丈「税理士のための税務調査手続きルールブック」p326の、税務調査手続に関するFAQ(職員用)

税務調査手続に関するFAQ(職員用)問1-55、多忙であることは合理的な理由になるのか

(答)単に多忙であることをもって、合理的な理由に該当するとは判断できませんが、多忙であることの具体的内容を聴取し、個々の事情を考慮したうえで「業務上やむを得ない事情」として調査日時等の変更が可能か否か検討することになります(手続通達5-6)

税務調査手続に関するFAQ(職員用)問1-57、事前通知を行った後において、納税者等から調査日時の変更の申出があったが、その申出の理由が合理的なものと認められない場合、担当者が当初通知した調査日時で臨場することは可能か

(答)単に多忙であることを理由に、繰り返し調査日時の変更を申し出るなど納税者等から変更の申出の理由が合理的なものと認められない場合は、その旨を納税者等に十分説明し、事前通知した日時により調査を行うことになります。

以上から、「単に多忙であることを理由に調査を逃げようとする行為」はとてもリスクがあると解されます。ただ、ここで感じたことは「調査を受ける姿勢を見せつつの日程変更」は認められるべき、認められる、と感じました。

ネット上の情報

・税務調査日の変更理由が「急に都合が悪くなったからという理由でも大丈夫」という記述がありました。
・税務調査日の変更理由は「都合が都合がつかなくなったからで十分」という記述がありました。
・「資料を揃え、調査協力をすることを約束することで、調査日時を1か月延長してもらうことになりました。」との記述がありました(2023年7月27日加筆)
・税務調査専門税理士のブログで「何度も日程変更の経験がある」との記述がありました(2023年7月27日加筆)

インターネットで検索をかけた場合においては「税務署へ具体的かつ明確な理由を説明する必要はない、都合が悪くなったからで通用する」という記述が多く見受けられました。

しかし、税務調査手続に関するFAQ(職員用)における「単なる多忙は理由とならない」と整合しないため、やや疑問が残りました。

日程変更の申出が事前自主修正申告のためであると調査官が感づいた場合は、調査開始を早める可能性があるため気を付けましょう

こちらのページをご参考ください。

国税不服審判所公表相続税裁決の中には更正の予知の有無の判断及び調査日時変更の交渉に関係する重要な事例が存在した

もし仮に、

・事前自主修正申告をしたいので調査変更をしたい申出
・税務調査専門税理士に依頼したので調査変更をしたい申出

などをすると、税務調査官が電話で臨場調査の前に調査を開始させる恐れがあるためお気を付けください。

あくまで弊所にご依頼いただく前提での日程変更申出の主張順位

・第一順位=税務調査を受ける体制を整えるための帳簿や資料の準備が当初の見込みより時間がかかるから日程変更をしてほしいと申出
・それでも調査官が認めない場合の第二順位は、税理士に依頼することにしたのでその税理士が日程変更を希望しているからと申出

となります。

第一順位の理由

・税務調査は任意調査であるため、納税者の都合が優先されるべきである・
・しかし、単なる多忙は合理的理由としては認められない。
・嘘(ウソ)の理由で日程変更を申し出ることは許されない。
・そこで、日々の業務をこなしながら税務調査の準備をするため、忙しい。税務調査を受ける体制をしっかり整えたいから、日程変更をお願いしたい、は単なる多忙や、税務調査から逃げているわけではないため認められるはず。

上記が理由となります。

第二順位の理由

しかし、税務調査官らか「いや、だいたいの資料を用意いただければ大丈夫ですよ」、など調査日程変更を認めないような主張がされる可能性があります。もし仮にそのため話が進まない場合は、下記となります。

・税理士に依頼することになり、当該税理士との打ち合わせの時間が欲しいから、日程変更をお願いしたいと申し出る
・依頼した税理士の都合、税理士が日程が合わないので、日程変更をお願いしたいと申し出る

となります。上記と同様に、単なる多忙による日程の変更申出ではないからです。

しかしながら下記に注意です。

・もし仮に依頼した税理士の名前を聞かれても、事前自主修正申告を推奨している弊所の名前は教えない。
・もし仮に電話で電話で調査開始の旨を宣言し臨場調査より前に調査を始める旨の申出があった場合は、必ず拒否する

となります。

まとめ

繰り返しになりますが、税務調査日の日程変更は認められます。遠慮なく申し出てください。

過少申告かつ偽りその他不正の行為、隠ぺい仮装に心当たりがある方で調査通知があった方、あきらめないでください、調査通知後から調査日の前日までに自主修正申告をすれば重加算税を回避できることが国税通則法第68条1項に定義づけられています!(こちらの解説ページをご参考ください)

税務署から電話があっても慌てないでください!調査開始前であればまだ対応策は残されております。弊所にご連絡ください!