反面調査とは

(2026年1月4日更新)

結論

・まず税務調査の根拠規定は国税通則法74条の2となります。
・税務調査の根拠規定である国税通則法74条の2における調査対象者が納税者及び取引先であることから反面調査の根拠規定は国税通則法74条の2となります。
・税務調査官にとってメリットのある反面調査のケースは実は少なく調査官は基本的に反面調査を嫌がるというのが弊所の見解です。

以下で詳細を記述します。

税務調査の意義は実は難しい

・「税務調査」は法令上は用いられておらず、実務上の用語となります。
・法令上は「調査」という用語が用いられているが、その定義規定は存在しません。
・「調査」で行われる「質問検査権等」については国税通則法74の9において「国税通則法74条2の規定による質問、検査又は提示若しくは提出の要求」と定められています。

したがって便宜上は、税務調査=調査=質問検査権等=国税通則法第74条の2、と考えてよさそうです。

反面調査という用語は事務運営指針とFAQで使用されています

・国税通則法74条の2における質問検査権等の対象者には納税者及び取引相手なども含まれます。
・この取引相手に対する質問検査権等が実行される場合が反面調査となります。
・そうすると反面調査という用語も法令上の定義は存在しないことになりますが、事務運営指針及び税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)で反面調査という用語が使用されているため、まるで法令で定められているかのように広く認知されています。

なお、事務運営指針とは国税庁が税務署職員に対して実務上における細かい指示を明記する場合のルールのようなものであり法律ではありません。FAQも納税者からの質問を想定して国税庁が明記した回答であり法律ではありません。したがって反面調査についてのルール、手続きなどの情報は少ないことになります。

<国税通則法74条の2>

(当該職員の所得税等に関する調査に係る質問検査権)
第七十四条の二 国税庁、国税局若しくは税務署(以下「国税庁等」という。)又は税関の当該職員(税関の当該職員にあつては、消費税に関する調査(第百三十一条第一項(質問、検査又は領置等)に規定する犯則事件の調査を除く。以下この章において同じ。)を行う場合に限る。)は、所得税、法人税、地方法人税又は消費税に関する調査について必要があるときは、次の各号に掲げる調査の区分に応じ、当該各号に定める者に質問し、その者の事業に関する帳簿書類その他の物件(税関の当該職員が行う調査にあつては、課税貨物(消費税法第二条第一項第十一号(定義)に規定する課税貨物をいう。第四号イにおいて同じ。)又はその帳簿書類その他の物件とする。)を検査し、又は当該物件(その写しを含む。次条から第七十四条の六まで(当該職員の質問検査権)において同じ。)の提示若しくは提出を求めることができる。
一 所得税に関する調査 次に掲げる者
イ 所得税法の規定による所得税の納税義務がある者若しくは納税義務があると認められる者又は同法第百二十三条第一項(確定損失申告)、第百二十五条第三項(年の中途で死亡した場合の確定申告)若しくは第百二十七条第三項(年の中途で出国をする場合の確定申告)(これらの規定を同法第百六十六条(非居住者に対する準用)において準用する場合を含む。)の規定による申告書を提出した者
ロ 所得税法第二百二十五条第一項(支払調書)に規定する調書、同法第二百二十六条第一項から第三項まで(源泉徴収票)に規定する源泉徴収票又は同法第二百二十七条から第二百二十八条の三の二まで(信託の計算書等)に規定する計算書若しくは調書を提出する義務がある者
ハ イに掲げる者に金銭若しくは物品の給付をする義務があつたと認められる者若しくは当該義務があると認められる者又はイに掲げる者から金銭若しくは物品の給付を受ける権利があつたと認められる者若しくは当該権利があると認められる者
二 法人税又は地方法人税に関する調査 次に掲げる者
イ 法人(法人税法第二条第二十九号の二(定義)に規定する法人課税信託の引受けを行う個人を含む。第四項において同じ。)
ロ イに掲げる者に対し、金銭の支払若しくは物品の譲渡をする義務があると認められる者又は金銭の支払若しくは物品の譲渡を受ける権利があると認められる者
三 消費税に関する調査(次号に掲げるものを除く。) 次に掲げる者
イ 消費税法の規定による消費税の納税義務がある者若しくは納税義務があると認められる者又は同法第四十六条第一項(還付を受けるための申告)の規定による申告書を提出した者
ロ イに掲げる者に金銭の支払若しくは資産の譲渡等(消費税法第二条第一項第八号に規定する資産の譲渡等をいう。以下この条において同じ。)をする義務があると認められる者又はイに掲げる者から金銭の支払若しくは資産の譲渡等を受ける権利があると認められる者

反面調査に関する数少ない規定

上述の通り反面調査に関する数少ない規定は以下となります。

・「調査手続の実施に当たっての基本的な考え方等について(事務運営指針)」
第2章 3(6)反面調査の実施
取引先等に対する反面調査の実施に当たっては、その必要性と反面調査先への事前連絡の適否を十分検討する。
(注)反面調査の実施に当たっては、反面調査である旨を取引先等に明示した上で実施することに留意する。

・税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)問23より
問23 取引先等に対する調査を実地の調査として行う場合には、事前通知は行われないのですか。
税務当局では、取引先など納税者の方以外の方に対する調査を実施しなければ、納税者の方の申告内容に関する正確な事実の把握が困難と認められる場合には、その取引先等に対し、いわゆる反面調査を実施することがあります。反面調査の場合には、事前通知に関する法令上の規定はありませんが、運用上、原則として、あらかじめその対象者の方へ連絡を行うこととしています。
(注)一部の間接諸税については、納税者の方以外の方に対する調査の場合でも、原則として事前通知を行うことが法令上規定されています。

税務調査官にとってメリットのある反面調査のケースは実は少なく調査官は基本的に反面調査を嫌がるというのが弊所の見解

反面調査には以下のパターンが考えられます。外注費を例として説明します。
・納税者は恐らく外注先と正当な取引をしているが領収書等を紛失している場合の反面調査
・納税者は恐らく架空の外注費を主張しており、主張している数が多数の場合の反面調査
・納税者は恐らく架空の外注費を主張しており、主張している数が少数の場合の反面調査

まず納税者は恐らく外注先と正当な取引をしているが領収書等を紛失している場合の反面調査ですが、これは調査官にとっては反面調査という作業コストをかけたにも関わらず結果として外注費を否認できない徒労に終わることになります。また納税者にとっても取引先に税務調査を受けたことを知られることになり、双方にとってデメリットのみとなります。

次に納税者は恐らく架空の外注費を主張しており、主張している数が多数の場合の反面調査ですが、これは結果として多数の外注費を否認できるので調査官にとっては成果があがるのですが、その成果と作業コストが見合わないケースは徒労となります。事実として後出し簿外経費不可という規定が創設されました。こちらのページをご参考ください。

隠ぺい仮装や無申告を指摘された納税者の税務調査中の後出し簿外経費が不可に

最期に納税者は恐らく架空の外注費を主張しており、主張している数が少数の場合の反面調査ですが、これが唯一税務調査官にとってメリットが発生する可能性のある反面調査となります。しかしながら上述のように、反面調査においても反面調査先に対する事前通知や日程調整などのコストが発生するため、可能であれば納税者が正直に事実を打ち明けるなどして反面調査無しに外注費を否認したいと考えているはずです。参考文献は以下となります。

飯田真弓(2016年)『税務署は3年泳がせる』日本経済新聞社p74
調査官が反面調査を実施しようとする場合、通常の調査以外に反面調査のための日数を確保しなければなりません。調査官は限られた日数で調査を行っているので、実は反面調査はしたくないというのが本音なのです。

まとめ

・当然ながら税務調査において反面調査を発生させないことは重要と考えます。
・弊所の事前自主申告支援は反面調査を発生させない効果も含まれていると考えます。

この記事の監修者

税理士 田中亨
税理士 田中亨税務調査専門税理士
プロフィール
近畿税理士会上京支部
登録番号128205
税務調査案件を全国対応している税理士
事前自主申告による税負担の軽減に全力を尽くしている
これまで多くの税務調査案件を早期解決に導いてきた
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