(2023年4月20日作成)
期限後申告とは何か特殊な確定申告書作成なのか?
(結論)
・個人事業主→通常の白色申告書及び確定申告書B又は通常の青色申告書及び確定申告書Bの提出(を複数年分)
・法人会社→通常の決算書及び通常の白色法人税申告書or通常の決算書及び通常の青色法人税申告書の提出(を複数年分)
以上から通常の申告書を作成し、遅れて提出するだけで期限後申告書という様式は存在しない、ということになります。
期限後申告の場合何か特殊な作業が必要なのか?
(結論)
個人事業主及び法人会社→通常の確定申告を行っている事業者と同じように資料を収集し、会計数字を計上させていくという全く通常の作業となります。ただ、無申告、数年無申告という特殊性から、失われた紛失した資料の再発行などを行い収集していくことがやや特殊な作業となります。
期限後申告の資料収集において何か特別な秘策、メソッドが存在するのか?
(結論)
個人事業主及び法人会社→いえ、特別な秘策、メソッドはありません。無申告、数年無申告という特殊性から、失われた紛失した資料の再発行などを行い収集していくこと、それだけとなります。
売上の観点から資料収集について
・第一順位、クラウド上の売上履歴、エクセル売上表のようなもの、手書きの売上帳のようなもの探し出し集計
・第二順位、通帳入金売上確認のための過去通帳を再発行し、集計
・第三順位、メール履歴、ライン履歴、手帳のメモ書きを探し出し、集計
・第四順位、仕入れや経営状態から推測して推計して売上を出す
第一順位、クラウド上の売上履歴、エクセル売上表のようなもの、手書きの売上帳のようなもの探し出し集計
・メルカリ等、ネットショップを通して販売している場合はその販売履歴の集計により売上を集計することができます。
・現在は家庭にパソコンが普及していることから、エクセル等で集計しているものがあればそれを集計します。
・売上を手書きでメモしていたような場合は、それらを集計してきます。
売上全体の把握可能性が高い方法となります。
第二順位、通帳入金売上確認のための過去通帳を再発行し、集計
現在においては、現金をそのまま受け渡すのではなく、振込や引き落とし、つまり銀行の通帳を通す取引が盛んです。また、金融機関は通帳を再発行依頼すれば発行してきますので、ありがたい資料となります。
しかしながら、あくまで「通帳入金売上のみ」しか把握できないこととなります。
第三順位、メール履歴、ライン履歴、手帳のメモ書きを探し出し、集計
売上金額が記載したメール・ライン・手帳のメモ書き、などを探し出して集計する方法となります。しかしながら、その全てが残っておらず、一部のみ残っている場合、当然一部しか計上できないこととなります。
第四順位、仕入れや経営状態から推測して推計して売上を出す
売上に関する資料が何も無いが、確かに売り上げは存在するんだ、ということになれば、仕入れ活動から売り上げを逆算して推計することになります。例えばよく言われるのが、たこ焼き屋さんであれば、月間に消費したつまようじの数と販売単価から算出するような方法です。
ただ、当然、事実と乖離する場合もあるでしょう。
仕入れ・経費の観点から資料収集について
・第一順位、ネット購入履歴から集計
・第二順位、通帳からの振り込み支払いのための過去通帳を再発行し、集計(消費税仕入税額控除の観点からは不十分)
・第三順位、クレジットカード利用明細を再発行(消費税仕入税額控除の観点からは不十分)
・第四順位、メール履歴、ライン履歴、手帳のメモ書きから相手方に再発行を依頼
・第五順位、メール履歴、ライン履歴、手帳のメモ書きから思い出して自身で出金伝票を作成(所得税・法人税法上あまり望ましい資料ではなく、消費税仕入税額控除の観点からも不十分)
・第六順位、資料が全く無いため同業他社の経費率を主張して認めてもらう(所得税法・法人税法上・消費税法上望ましい方法ではなく、令和5年(2023年)1月1日以降はさらに厳しくなりました)
第一順位、ネット購入履歴から集計
amazon、ヨドバシ、楽天などのネットを通して仕入・経費を支出された場合は、これらのアカウント情報の購入履歴から、明瞭な資料を手に入れることが可能と思われます。ただ、アカウント情報を紛失したなどのケースもあるかと思います。しかし、購入先、金額、取引日付がデジタルで保存されているので一番確実な資料と思われます。所得税・法人税法上及び消費税法上においても確実な資料です。
第二順位、通帳からの振り込み支払いのための過去通帳を再発行し、集計(消費税仕入税額控除の観点からは不十分)
通帳を経由した取引による仕入・経費の支払いの場合は金融機関が再発行してくれる通帳が計上の根拠となるでしょう。しかし、別ページで解説しますが、消費税仕入税額控除の要件は満たしません。
第三順位、クレジットカード利用明細を再発行(消費税仕入税額控除の観点からは不十分)
クレジット払いを経由した取引による仕入・経費の支払いの場合はクレジットカード会社が再発行してくれるクレジットカード利用明細・請求明細が計上の根拠となるでしょう。しかし、別ページで解説しますが、消費税仕入税額控除の要件は満たしません。
第四順位、メール履歴、ライン履歴、手帳のメモ書きから相手方に再発行を依頼
過去のメールの履歴やライン履歴、手帳のメモ書きから仕入・経費の取引を思い出し、相手方に再発行を依頼することです。
・履歴が残っており相手先と連絡が付くことが前提
・再発行には時間を要する可能性が高い
・仮に入手できれば所得税・法人税法上及び消費税法上からも確実な資料となる
あたりが特徴的となります。
第五順位、メール履歴、ライン履歴、手帳のメモ書きから思い出して自身で出金伝票を作成(所得税・法人税法上あまり望ましい資料ではなく、消費税仕入税額控除の観点からも不十分)
過去の取引を思い出しご自身で出金伝票等を作成する方法となります。
・法人税法上、所得税法上、レシート・領収書・請求書が無ければ費用。経費化できないという法律はありません。しかしながら、スムーズに認められるかどうかは別の観点となります。例えば「外注費500万円」というご自身で作成した出金伝票がそのまま税務調査でスムーズに認められるのか?というお話です。
・消費税の仕入税額控除の要件は満たさず不十分である
という点が特徴となります。
第六順位、資料が全く無いため同業他社の経費率を主張して認めてもらう(所得税法・法人税法上・消費税法上望ましい方法ではなく、令和5年(2023年)1月1日以降はさらに厳しくなりました)
これがいわゆる、税務署との交渉、税務調査専門税理士の交渉力、とよばれるものかもしれません。資料が無い部分は、概算で、推計計算で仕入・経費を主張するという方法です。しかし、確実な方法ではありません。また近年の改正により厳しくなってきております。
会計処理の後は税金計算です
会計処理が完了してもそれで終了ではありません。個人であれば所得税計算、法人であれば法人税計算が必要となります。
・個人であれば国税庁が無料で提供している確定申告書作成コーナーの利用
・法人は国税庁が法人税ソフトを提供しておりませんので、手書きや市販ソフトの利用など
で税金申告書を作成する必要があります。
過少申告かつ偽りその他不正の行為、隠ぺい仮装に心当たりがある方で調査通知があった方、あきらめないでください、調査通知後から調査日の前日までに自主修正申告をすれば重加算税を回避できることが国税通則法第68条1項に定義づけられています!(こちらの解説ページをご参考ください)
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