税務調査による追徴税額が払えないとどうなるか

(2026年2月11日更新)

結論

・税務調査の追徴税額は一括納付が原則ですが、一括納付できるケースの方が少ないです。
・税務調査の追徴課税を一括納付できない場合の実務としては、換価の猶予、嘆願による分割納付、により残りの人生において完済するまで支払っていくことになります。
・教科書的な考えである、財産の差押え、取立て・公売については実務上は発生しにくいと考えられます。
・個人事業主の滞納税金は自己破産しても免れることはできません。
・法人は破産すれば滞納税金は免れることができておりましたが、法改正により偽りその他不正行為により国税を免れた場合には代表者に対して第二次納税義務が発生することになりました。つまり重加算税賦課の場合は第二次納税義務が発生する可能性が高まります。
・以上から税務調査による追徴税額が払えない場合は、分納して返済していくことになります。
以下で解説いたします。

国税を滞納した場合の教科書的な取り扱いと実務的な取り扱い

まず以下の2点の観点があります。
①滞納処分の取り扱いについて
②滞納処分を回避するための取り扱いについて

国税庁が解説する教科書的な取り扱い

国税庁が解説する滞納処分の教科書的な取り扱いについて
国税を滞納すると、以下の①~⑤の手順が発生すると解説されています。
①督促状送付(※ 納期限を過ぎても納付がない場合、督促状が送付されます。)
②財産調査(※ 金融機関や取引先などに対し財産の調査を行います。※財産調査の一環として、徴収職員が居宅や事務所などの捜索を行う場合があります)
③財産差押え{※ 動産(貴金属等)、債権(売掛金・預金等)、不動産などの財産の差押えを行います}
④取立て・公売(※ 差し押さえた債権の取立てを行います。※ 動産や不動産等は、入札等による公売を行います。)
⑤滞納国税に充当(※ 取り立てた債権や公売による売却代金を滞納国税に充てます。)

国税庁が解説する滞納処分を回避するための教科書的な取り扱いについて
・納税の猶予により1年納付を猶予してもらう、状況によりもう1年猶予も可能、つまり最長2年間猶予可能
・納税の猶予に該当しない場合は、換価の猶予により1年納付を猶予してもらう、状況によりもう1年猶予も可能、つまり最長2年間猶予可能

まとめると、国税は最長でも2年以内に納付しなければ、財産の差押えが発生するというルールを読み取ることができます。

実務における取り扱い

実務上における滞納処分の取り扱いについて
・仮に持ち家を有していたとしても不動産が差押えられることは少ないと考えます。なぜなら国は不動産より現金を収めてほしいと考えるからです。
・滞納後に納税者が取得した売掛金や売上金を差し押さえられることも少ないと考えます。なぜなから仮に1か月分の売掛金、売上金を差し押さえて納税者が生活できなければ結果として滞納税金を回収できなくなるためです。

実務上における滞納処分を回避するための取り扱いについて
・税務調査における追徴税額について納税の猶予が認められる可能性は低いことになります。
・そうすると換価の猶予で2年間で分割納付することになります。
・しかし2年でも分割納付完済できない場合も多いので、税務署に嘆願して完済まで分割することになります。
・なお個人事業主の滞納税金は自己破産しても免れることはできません。なお法人は破産すれば滞納税金は免れることができておりましたが、法改正により偽りその他不正の行為により国税を免れた場合には代表者に第二次納税義務が発生することになったことは注意です。つまり重加算税賦課の場合は第二次納税義務が発生する可能性が高まります。

納税の猶予と換価の猶予の違いについて

納税の猶予と換価の猶予の違いについての詳しい内容は以下をご参考ください。
納税の猶予と換価の猶予の違い

改めて納税の猶予と換価の猶予の違いをまとめると以下となります。
●納税の猶予
・災害等を受けた、という限定的な条件の場合のみ対象となる
・制度上は税務調査前の事前自主修正期限後申告と同時に納税猶予申請すれば対象だが税務署長が認めない可能性が高い
・猶予期間中は原則的に納付そのものが猶予されつつ、税務署長が状況を見て猶予期間中の分納を求めてくる可能性もあるというスタンス
●換価の猶予
・納税の猶予を受けることができなかった納税者が対象となる
・猶予期間中は原則として分割納付の予定計画を申請して税務署長に認めてもらうというスタンスであり、納付そのものが猶予されるスタンスではない

税務署への嘆願による分納とは

換価の猶予による2年を超えてもなお分納完済できない場合は、税務署が個別に判断して分納を認めることが実務のようです。上記の記述のように税務署は、不動産・売掛金を差し押さえるより、納税者が獲得した売上金から生活費を差し引いたものを分納してもらうほうがメリットが大きいと考えています。

まとめ

税務調査による追徴税額が払えない場合は、分納して返済していくことになります。

この記事の監修者

税理士 田中亨
税理士 田中亨税務調査専門税理士
プロフィール
近畿税理士会上京支部
登録番号128205
税務調査案件を全国対応している税理士
事前自主申告による税負担の軽減に全力を尽くしている
これまで多くの税務調査案件を早期解決に導いてきた
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