(2020年2月27日作成)(2023年8月10日再編集)(2024年4月19日再編集)
結論:追徴税額納付のための現金が無く手放したくない不動産がある場合が大問題
・税務調査で多額の追徴税額を受けたが現金の貯蓄がある場合→現金で納税して終了
・税務調査で多額の追徴税額を受けたが現金の貯蓄が無く、守りたい不動産がある場合→融資を受けるなどして不動産を守らなければならない。
・税務調査で多額の追徴税額を受けたが現金も不動産も何も失うものが無い場合→行政の差し押さえ強制執行は空振りに終わります(決して許される行為ではありません)
以下で解説いたします。
税務調査の追徴税額が払えないとどうなるかのパターン別表
パターン別 | 税務調査による追徴税額を払えないとどうなる | 解決策 | 解決策の実行難易度について | 弊所独自の私見 |
---|---|---|---|---|
・税務調査で多額の追徴税額が発生した。 ・追徴税額を支払うための現金を所有している。 | 所有している現金で追徴税額を納付して完了 | 所有している現金で追徴税額を納付して完了 | 所有している現金で追徴税額を納付して完了 | 仮に多額の追徴税額を受けたとしても逮捕されないのであれば、納税して完了するのみとなります。 |
・税務調査で多額の追徴税額が発生した。 ・追徴税額を支払うための現金が無い。 ・手放したくない不動産がある。 | 追徴税額を支払えない場合滞納となり、督促状、税務署から電話などで催促の連絡、原則として、税務署は督促状を送った日から10日を経過した日までに滞納している税金を完納しないときは、差し押さえが行える、差し押さえられた資産は、公売にかけられ、その売値が滞納分に充てらる。 | ・納税猶予を検討する ・換価の猶予を利用する ・納税資金を親族や知人から融資を受ける。 ・納税資金を金融機関から融資を受ける。 ・審査の簡便なビジネスローンなどで融資を受ける。 | 失いたくない不動産等の財産がある場合の当該ケースは、解決難易度が高いように思われます。 | ・そもそも納税滞納している場合、金融機関への融資申請は不可の場合があります。 ・金利の高いビジネスローンなどに望みを託すしかないように思われます。 |
・税務調査で多額の追徴税額が発生した。 ・追徴税額を支払うための現金が無い。 ・手放したくない不動産も無い。 | ・差し押さえられる対象となる不動産、動産いずれも存在しない場合、差し押さえるべき財産がないので、そもそも差押えはできない、強制執行は事実上空振りに終わる。 | ・財産が何もない場合は、文字通り何もできないこととなります。ただ決して当該行為は許される行為ではありません。 | ・財産が何もない場合は、文字通り何もできないこととなります。ただ決して当該行為は許される行為ではありません。 | ・強制執行そのものが解除されるわけでは無く完了するまで残ります。例えば、事業で収入を得たもの、給与として得たもの、が今後ただちに差し押さえられることとなります。 |
税務調査で多額の追徴税額を受けたが現金の貯蓄がある場合
脱税や、隠ぺい仮装行為を行った結果、その現金資金を貯蓄、貯金、プールしていた場合は、端的に言えば、それらを活用して税務調査による追徴税額を完納すれば完了となります。
税務調査で多額の追徴税額を受けたが現金の貯蓄が無く、守りたい不動産がある場合
このケースは解決が大変、困難となります。まず、
・納税の猶予を検討するも、病気ケガ災害以外は認められにくいと解されます。
・換価の猶予を利用し、1年間及び追加の1年間の猶予を利用する
・それでも納税困難な場合は親族や知人の融資を検討する
・それでも納税困難な場合は金融機関の融資を検討する
・それでも納税困難な場合は審査の簡便な融資を検討する
下記で詳細を見ます。
納税の猶予は条件が厳しい
納税の猶予は下記のような場合のみ認められます。
①災害、病気、休廃業、事業上の著しい損失など
②本来の期限から1年以上経過した後に、修正申告などにより納付すべき税額が確定した
こと
換価の猶予を利用
換価の猶予の要件は下記とされています。
・要件
申請による換価の猶予をすることができるのは、次に掲げる要件の全てに該当する場合である
イ 納付すべき国税を一時に納付することにより、その事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあると認められること。
ロ 滞納者が納税について誠実な意思を有すると認められること。
ハ 滞納者から納付すべき国税の納期限から6月以内に換価の猶予の申請書が提出されていること。
ニ 納付すべき国税について納税の猶予の適用を受けている場合でないこと。
ホ 原則として、換価の猶予の申請に係る国税以外の国税の滞納がないこと。
ヘ 原則として、換価の猶予の申請に係る国税の額に相当する担保の提供があること。
また猶予期間については
・原則1年間
・特例として追加の1年間
が認められるとされています。
それでも納税困難な場合は親族や知人の融資を検討する
換価の猶予でも納税が困難な場合は、親族や知人等からに借入をお願いすることになると思われます。
それでも納税困難な場合は金融機関の融資を検討する
通常の店舗型の金融機関は納税のための融資は厳しいとされています。しかし、交渉すれば可能なケースも存在するようです。
それでも納税困難な場合は審査の簡便な融資を検討する
近年は、ネット銀行が登場しております。それに伴い様々な「ビジネスローン」「事業用ローン」という商品が登場しております。高金利ではあるものの審査が簡便であるのが特徴です。
これらの対策を講じて、ご自身の守りたい不動産を守りましょう。
税務調査で多額の追徴税額を受けたが現金も不動産も何も失うものが無い場合
お金がない、財産もない、無いものは無いとして行政の差し押さえ強制執行は空振りに終わります(決して許される行為ではありません)。
しかし、強制執行そのものが解除されるわけでは無く完了するまで残ります。例えば、事業で収入を得たもの、給与として得たもの、が今後ただちに差し押さえられることとなります。
まとめ
基本的には、換価の猶予を利用して、納税に向き合うことと解されます。
過少申告かつ偽りその他不正の行為、隠ぺい仮装に心当たりがある方で調査通知があった方、あきらめないでください、調査通知後から調査日の前日までに自主修正申告をすれば重加算税を回避できることが国税通則法第68条1項に定義づけられています!(こちらの解説ページをご参考ください)
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