(2019年6月4日作成)(2024年9月6日再編集)

結論

・書籍やネット記事を見るよりも、国税庁が公表しているデータを分析することが最も有意義と解されます。
・個人事業主等個人については、富裕層、海外投資を行っている個人、インターネット取引をしている個人、無申告者、所得もれが高額な上位10業種、として狙われやすい事業者を公表しています。
・法人については、海外取引法人等、無申告法人、不正発見割合の高い10業種、として公表されています。

下記で詳細を記述します。

前提知識:KSKとは?

国税庁はKSKというシステムを導入しています。

国税総合管理(KOKUZEI SOUGOU KANRI)システムの頭文字をとったものです。

経済成長に伴う事務量の増大や質的な複雑化に対応するため、事務の合理化・効率化のためにコンピュー タの活用を推進。

① 都市局と地方局で異なったシステムから国税局・税務署をネットワークで結んでオンライン処理できる システムに統一。
② 経済取引の複雑・広域化、情報化の急速な進展等を踏まえ、地域や税目を超えた情報を一元的に管理す るため、発展性のある新しいコンピュータシステムを導入。

・昭和63年 導入決定
・平成7年 東京国税局管内の2税務署、仙台国税局管内の2税務署において試行を開始
・平成9年 東京国税局管内全税務署に導入
・平成11年 大阪国税局管内全税務署に導入
・平成12年 名古屋国税局管内全税務署、関東信越国税局管内の10税務署に導入
・平成13年 全国導入完了

という歴史をたどってきたようです。

重要なのは、KSKには調査官が実際に見聞きした情報もデータ化されるということです。例えば、税務調査官も人間ですのでランチやディナーで外食します。そこでの店員の動きや売上管理、現金管理が気になる店があったとします。そうすると税務調査官はそれをメモや暗記しておいて後日KSKシステムに入力するそうです。現在では、携帯、スマートフォンの普及がすさまじく、メモや録音が簡単になりました。税務調査官は24時間目を光らせているそうです。その後、外観調査、内偵調査といった段取りをへて、税務調査の対象となる事業者が選ばれるそうです。

情報元

・書籍
・ネット記事
・国税庁公表データ

を検証します。

書籍からの情報

・飯田真弓「税務署はやっぱり見ている」株式会社日経BP(2023年3月17日)より
〇p72より、どんな会社が税務調査に選ばれやすいかなんか?そんなことがわかるならこっちが教えてほしいと言ったにちがいありません。
〇p73より、どんな業種が調査に選ばれやすいかという質問もよくお受けします。これも同じことです。
〇p73より、とはいうものの、国税当局では実際に着手するまでの手順というものがあります。それは準備調査と言われているのですが、次のような三つのステップを踏みます、ステップ①机上操作、現在国税庁はKSKというシステムを導入しています。

・大村大次郎「税務署対策最強の教科書」株式会社ビジネス社(2020年1月1日)より
〇p28、まずは売上が上昇しているのに利益が出ていない事業者ですね。(省略)例年と比べて数値の変動が大きい事業者も税務調査の対象となりやすいです。

・久保憂希也「元税務調査官が斬る税務調査の真実」マトマ出版(2012年2月10日初版発行)より
〇p108より、調査先の選定は、まずKSKと呼ばれるシステムが行っています。
〇p109より、選定の開始にあたっては、KSKが入力された数字データに基づいて調査対象先の選定をするのですがかなり多くの選定基準があると言われています。その中でも最も汎用性のあるKSKの選定基準だけをピックアップしてみます。
(1)長期未接触基準
(2)数字データに基づく分析基準
①期間損益の比較
②同業者比率との比較
〇P112より、最後は人が選ぶ

ネット上の情報

売上高が大きい事業者、所得率が高い事業者、不正割合の高い業種は狙われやすい、との記述がありました。

国税庁公表データ

国税庁公表データを弊所が独自でまとめた下記のページをご参考ください。

個人所得税及び個人消費税の税務調査等データ
法人税及び法人消費税の税務調査等データ

これらのデータには
・個人事業主等個人については、富裕層、海外投資を行っている個人、インターネット取引をしている個人、無申告者、所得もれが高額な上位10業種、として狙われやすい事業者を公表しています。
・法人については、海外取引法人等、無申告法人、不正発見割合の高い10業種、として公表されています。

つまり、まさにこれらの事業者が狙われやすいといえるのではないでしょうか。

弊所独自のまとめ

・書籍及びネットは答えのない答えしかたどり着けないこととなりました。
・国税庁わざわざ調査されやすい事業者のヒントを公表して、けん制しているように解されます。

過少申告かつ偽りその他不正の行為、隠ぺい仮装に心当たりがある方で調査通知があった方、あきらめないでください、調査通知後から調査日の前日までに自主修正申告をすれば重加算税を回避できることが国税通則法第68条1項に定義づけられています!(こちらの解説ページをご参考ください)

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