(2023年9月28日作成)
注意すべき前提のお話
◎谷原誠、「税務のわかる弁護士が教える税務調査における重加算税の回避ポイント」、ぎょうせい、令和元年12月1日における谷原誠の前提
・現在通用すると税理士谷原誠が考える最高裁判例から、税理士谷原誠が最高裁ルールを抽出し、あくまで税理士谷原誠私見のフォーミュラ(公式)を提示している
・学説等は取り上げず、あくまで最高裁判決のみから分析している
という点をまずはしっかりと記憶お願いいたします。
◎税理士谷原誠はなぜ最高裁判決にこだわるのか?最高裁判決のみで公式を算出しても良いのか?最高裁判決と法律の関係については、こちらのページをご参考ください。
税理士谷原誠は最高裁平成17年1月17日判決から<谷原誠ルール4>を抽出しています
<谷原誠ルール4>税理士が隠ぺい又は仮装行為をした場合
納税者と税理士との間に事実を隠蔽し、又は仮装することについて意思の連絡があったかどうか。
弊所がおすすめする最高裁平成17年1月17日判決の呼び方
まず裁判例、判例を呼ぶ時、人と議論するとき、人に説明するときにおいては、「最高裁平成○○年○月○日判決」とか「○○地裁平成○○年○月○日判決」のように呼びます。わかりにくいというか呼びにくいですよね?ただ、これ仕方がないことだと思います。例えば、弊所はブラザーのレーザープリンターを利用しているのですが、インクトナーを交換するときは「TN-29J」を購入します。「ブラザーのトナー買っといて」と人に頼んでも「型番はどれ?」となります。商品で記号番号が付されても覚えにくいです、でも覚えるしかありません、私も「TN-29J」は嫌でも暗記しました。
裁判例の話に戻しますとやはり「最高裁平成○○年○月○日判決」と呼ぶしかないわけですが、有名な判例にはその裁判のテーマや内容を表す名前、あだ名がつくことがあります。最高裁平成17年1月17日判決には特にあだ名がありません。。
そこで弊所がおすすめする呼び名、あだ名が、最高裁平成17年1年17日判決=オリジナル命名:最高裁平成17年税理士の不正行為を納税者と同一視判決、です。
「最高裁平成17年1年17日判決」と暗記しても「この判決ってどんな内容だったっけ?」となれば意味がなく、また暗記しにくいです。しかし、「最高裁平成17年税理士の不正行為を納税者と同一視判決」と暗記すれば、「あー、あの納税者は税理士が行った不正におそらく気づいてただろのやつだな」となります。
最高裁平成17年1月17日判決の内容
・下記においては原文を大幅に編集しておりますのでご注意ください。
事案の概要
・Xは数年前買った土地を譲渡したら譲渡益が発生しました。
・Xは知人から乙税理士を紹介されました。
・乙税理士はXに、税額2,600万円となるが、乙税理士は1,800万円で済ますことができる能力があるという説明をした。
・乙税理士は、土地の買い手の紹介料という経費も控除できるというメモを提示したが、X本人はそのような紹介料を支出した覚えはなかったが、乙税理士に対して「そんな経費は払っていないので計上しないでください」とは言わなかった。
・乙税理士は、税理士報酬5万と1,800万円をXから受け取った。
・乙税理士は、税務署内の協力者に指示をして、虚偽通知や資料の廃棄し、納税額を7,100円とする確定申告書を提出した。
・乙税理士は、Xから受領した1,800万円を領得した。
・Xは乙税理士から確定申告書の控をもらわなかった。
・その後、乙税理士の脱税行為が発覚し、課税庁はXに重加算税の賦課決定をしました。
・Xは取消訴訟を提起しました。
判決
◎重加算税の賦課要件を提示した
納税者と税理士との間に事実を隠蔽し、又は仮装することについて意思の連絡があったと認められる場合には、賦課要件を満たすことになる。
◎判断内容
・Xは納税額が2,600万円が1,800万円となるという説明を乙税理士から受けていた。
・Xは、自身が出費した覚えのない経費が計上されることを知っていた。
・そうするとXは乙税理士が違法な手段により税額を減少させようと企図していることを了知していたとみることできる。
以上から、重加算税の賦課要件を満たすとしました。
まとめ
・最高裁判例は法律レベルの拘束力を持つ
・最高裁が納税者が申告を委任した税理士が隠ぺい、仮装を行った場合の判断を示した
・税理士谷原誠が当該判例から、納税者が申告を委任した税理士が隠ぺい、仮装を行った場合の<谷原誠ルール4>を導き出している。