(2019年6月2日作成)(2024年9月6日再編集)
結論
・国税OB税理士が税務調査対応に強くて「特別」有利であるというわけではないようです。
・ただ書籍からの情報で「国税OB税理士の強みといえば、現職時代に実際に自分がやっていたことの裏返しですから、この案件の問題点はどこか、調査官は何を考えどのように調査を進めようとしているのか、そして落ち着くところ(修正金額の落としどころ)はいくらかなどは手に取るようにわかるわけだ」という意見は一理あると解されます。
・しかし、修正金額の落としどころが著しく他の納税者と比べて不公平であることは許されるはずはないと解されます。
下記で詳細を記述します。
前提知識として税理士資格保有者は数種類に分類できます
一般的な分類パターン
①税理士試験5科目合格者
②税理士試験一部合格+大学院免除合格者
③公認会計士・弁護士の税理士登録者
④税務署等に一定期間勤務したことにより税理士資格を取得した者
一般的に税理士有資格者を分類する場合には上記のようなパターンで分類されるケースが多いと思います。
税務調査対応における分類
Ⅰ国税OBではない税理士(上記分類の①~③)
Ⅱ国税OB税理士(上記分類の④)
税務調査対応について議論される場合は、上記のⅠorⅡで議論されます。
情報元
・書籍にからの情報
・ネットからの情報
なお遺憾ながら弊所は国税OB税理士は所属しておらず、直接的な体験談を語ることは出来かねます。
書籍からの情報
・飯田真弓「税務署は見ている」日本経済新聞出版社(2013年9月9日初版)より
p149より、「国税OB税理士に頼んでおけば、調査の際、税務署に口をきいてもらえるのでは?」などという人もいるようです。私個人としては、コネで不正がまかり通るような事態は大嫌いですから、特定の人だけに有利なはからいをすることが許せません。調査官時代、OB風を吹かすような税理士が出てくるとむしろ、真っ向から戦う姿勢で調査に臨んでいました。
・秋山清成「厳しい税務調査がやってくる続間違いだらけの相続税対策」中央経済社(2021年1月25日第1版)より
p31より、国税OB税理士の強みといえば、現職時代に実際に自分がやっていたことの裏返しですから、この案件の問題点はどこか、調査官は何を考えどのように調査を進めようとしているのか、そして落ち着くところ(修正金額の落としどころ)はいくらかなどは手に取るようにわかるわけだ
・大村大次郎「税務署対策最強の教科書」株式会社ビジネス社(2020年1月1日)より
〇p168、OB税理士は税務署とのパイプを持っていますから、いろんな意味で税務署対策に適しているといえます。ぶっちゃけた話、税務署もOB税理士に対しては、遠慮している面があるのです。
〇p169、国税のOBがやるのだから、国税職員としてはやりにいものです。彼らは税務署の仕事のやり方はすべて熟知しているのです。
〇p170、国税職員というのは先輩と後輩の結びつきが強い組織でもあります。(省略)後輩は先輩の言うことを絶対聞かなくてはなりませんし、先輩は後輩の面倒を必ずみなければなりません。(省略)そういう関係で、先輩が国税をやめたからといって簡単に断ち切れるものではありません。(省略)こういう具合に国税OB税理士というのは、現役の国税職員に対してかなりの影響力を持っているわけです。
・久保憂希也「社長、御社の税金は半分にできる!」(2012年1月30日第1刷)より
〇p161、まず税務調査に強いという元国税調査官の税理士で「私を顧問にしてさえもらえれば、税務署に口利きができるから大丈夫」といってる税理士は、絶対に信用してはいけません。昔(といっても90年代まで)は本当に口利きがあったのだと思いますが、今は税務署(国税調査官)への口利きなどありえません。2000年に国家公務員倫理法が施行されてから税務署(国税調査官)と(元国税調査官といえど)税理士の癒着は厳しく取り締まられています。
ネット上の情報
・国税OBだから税務調査に強いとは言えない、との記述がありました。
・税務調査対応の実績がある税理士事務所であれば国税OB在籍の有無は関係ない、との記述がありました。
・国税OBだから顔が利くなんてありえない、との記述がありました。
上記を総合した弊所の考え
・税務調査において国税OB税理士がその他の税理士より有利なんてことは租税法律主義、租税公平主義に反するのであってはならないことでしょう。
・かつての大昔の時代はそのようなことがあったのかもしれませんが、現在は不平等、不公平、公務員に対する風当たりが強い時代です。またスマホ録画録音技術も発達していることから、法律に基づかない圧力行為のようなものは証拠保存されて晒されたうえで処罰を受けることになるでしょう。
・以上から国税OBだから「特別」有利ではない、と解されます。
過少申告かつ偽りその他不正の行為、隠ぺい仮装に心当たりがある方で調査通知があった方、あきらめないでください、調査通知後から調査日の前日までに自主修正申告をすれば重加算税を回避できることが国税通則法第68条1項に定義づけられています!(こちらの解説ページをご参考ください)
税務署から電話があっても慌てないでください!調査開始前であればまだ対応策は残されております。弊所にご連絡ください!