(2019年5月15日作成)(2024年4月24日再編集)(2025年8月18日再編集)

調査開始前に自主申告するメリットをパターン別に解説いたします。

・無申告者個人事業主の場合のメリット
・無申告者法人の場合のメリット
・過少申告者個人事業主の場合のメリット
・過少申告者法人の場合のメリット
・相続税贈与税無申告者の場合のメリット
・相続税贈与税過少申告者の場合のメリット

無申告者個人事業主の場合のメリットを解説

◎前提の概要
・パソコン、スマホ、デジタル機器、デジタル取引の発達により「売上取引履歴が全く残らない状態」が極めて困難となりました。税務署は、売上取引資料を何らかの方法で取得し、動かぬ証拠として実額による売上金額を指摘してくるでしょう。その場合、納税者の防御策としては実額による経費を計上して所得を小さくするしか方法がありません。
・昭和、平成中期までは「何も資料がないから申告できない」という場合、税務署が推計して課税する推計課税で決着するケースも多かったでしょう。しかし、これは良くも悪くも実態と乖離する現象が多くみられます。「課税の不公平」はあってはなりません。そこで平成の終わりからこの令和時代においては「実額による売上の指摘が主流」となっております。
・無申告者は重加算税は賦課されにくいのは不公平という批判を受けて無申告の厳罰化が進んでいます。

無記帳無保存無申告に対する厳罰化がすすんでいます

◎メリット
・今後ますます不利になるであろう無記帳無申告状態で税務調査が開始される状態を防ぎます。
・会計税務ソフトを利用して税理士に確定申告書作成代行を頼めます。

無申告者法人の場合のメリットを解説

・基本的なメリットは無申告者個人事業主の場合と同じになります。

さらなる法人の場合のメリットは
・法人税申告書作成を税理士ではない知識のない方が自力で作成することは難易度が高いため代行してもらえる。
・役員報酬の計上を失念すると申告内容が不利になるが、その失念を防ぐことができる。
・役員報酬に関する所得税業務も代行してもらえる。

無申告法人は追徴本税がそもそも高額となりそれに伴い加算税も高額となる恐れがある

過少申告者個人事業主の場合のメリットを解説

・既にご自身で隠蔽(いんぺい)仮装行為に心あたりがあるのであれば、事前自主修正申告により重加算税賦課を回避可能です。
・令和3年分以前の個人所得税修正申告5表(令和4年から廃止)作成はやや特殊であり知識が必要ですが、税理士に作成代行を依頼できます。
・令和4年分以降の「申告書第一表」と「申告書第二表」を利用した修正申告を、税理士に作成代行を依頼できます。

修正申告書作成については通常の確定申告書作成とやや異なります

過少申告者法人の場合のメリットを解説

・既にご自身で隠蔽(いんぺい)仮装行為に心あたりがあるのであれば、事前自主修正申告により重加算税賦課を回避可能です。
・法人税修正申告の難易度はさらに高いと解されるため、税理士に作成代行を依頼できます。

修正申告書作成については通常の確定申告書作成とやや異なります

相続税贈与税無申告者の場合のメリット

・所得税法人税計算における帳簿資料からの計算に比べて、相続税計算において収集する資料はその読み取る解釈により税額が大きく変わる可能性を秘めております。無申告においては税務署が税務署にとって有利なストーリーで課税する可能性があるところから、申告納税義務を果たし、立証責任を税務署に負わすことが有効と解されます。反対に無申告の場合、基本的に納税者が立証責任を負うような構図となります。

税務調査を理解するために申告納税制度を理解しよう

・国税通則法は全税目に共通する法律ですので相続税贈与税についても適用があります。贈与税においては無申告重加算税が賦課されている可能性があるため、事前無申告解消は有効と解されます。

贈与税調査においてはうっかりミスと言い張れば贈与税重加算税は回避できるのか

国税通則法第68条1項において調査通知後でも調査日の初日の前日までに修正申告すれば重加算税は回避できると定義づけられています

相続税贈与税過少申告者の場合のメリット

・国税通則法は全税目に共通する法律ですので相続税贈与税についても適用があり、事前自主修正申告すれば重加算税は回避可能です。

国税通則法第68条1項において調査通知後でも調査日の初日の前日までに修正申告すれば重加算税は回避できると定義づけられています