(2023年11月11日作成)

当該ページの活用方法

・当該裁決の内容を理解する
・ご自身の税務調査に当てはまる、活用できそうなら、当該裁決内容及びあだ名を覚える
・ご自身の税務調査の場で活用させる

平成25年9月26日裁決のオリジナルのあだ名

平成25年請求書による経費繰上計上に納品日の隠匿虚偽記載等が存在しないので隠ぺい仮装を認めなかった裁決

当該裁決のまとめ

前提
・原文ではなく、弊所が内容を編集しております
・上記にもあるように、弊所の私見による内容の編集、見解を記述しているにすぎません。

裁決の内容、要約、編集
(1)事案の概要
・本件は、審査請求人(以下「請求人」という。)が、課税仕入れに係る支払対価の額に翌課税期間に納品されたパンフレットの製作費等を含めたことについて、原処分庁が、隠ぺい又は仮装の行為があったとして消費税及び地方消費税に係る重加算税の賦課決定処分をしたのに対し、請求人が、隠ぺい又は仮装の行為はないなどとして同処分の全部の取消しを求めた事案である。
・消費税の調査対象期間
◎平成21年12月1日から平成22年11月30日までの課税期間(以下「本件課税期間」という。)←法定申告期限平成23年1月31日←処分日平成24年5月29日から2年以内
・修正申告の勧奨による修正申告書の提出→平成23年11月30日
・処分日→平成24年5月29日
・請求人は、主に乳製品等の輸入販売を行う法人である。
・請求人がJ社に対して依頼した会社案内に関するパンフレット及びレターヘッド(以下「本件パンフレット
等」という。)の制作及び印刷に関して、請求人の平成22年11月当時の○○部財務チーム課長であったK(以下「K課長」という。)は、J社から、本件パンフレット等の制作費及び印刷費(以下「本件パンフレット等製作費」という。)に係る平成22年11月25日付の2通の請求書(以下、当該各請求書を併せて「本件各請求書」という。)を受領した。
・請求人は、平成22年11月30日に、本件パンフレット等製作費をJ社に支払うとともに、広告宣伝費勘定に経費として計上した。
・請求人は、平成22年12月14日(本件課税期間の翌課税期間)に、J社が本件パンフレット等の印刷を委託したM社から、本件パンフレット等の納品を受けるとともに、同社が作成した同日付の納品書を受領した。
・請求人は、本件課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に本件パンフレット等製作費を含めて消費税等の確定申告をした。

(2)争点
本件パンフレット等製作費を本件課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に含めたことについて、隠ぺい又 は仮装の行為があったか否か。

(3)引用された最高裁判決判例、地裁判決
明記はありませんが、最高裁平成7年4月28日判決=オリジナル命名:最高裁平成7年積極的な隠蔽なしの無申告だが当初から過少申告の意図を外部からうかがい得る行動した判決、の前半部分における過少申告とは別に隠ぺい仮装と評価すべき行為が存在しという部分を引用したと推測されます。

(4)審判所の判断
・本件課税期間における請求人の経理事務に関する慣行は、次のとおりであった。
A 経費の発生した各部署は、送金依頼書を作成し責任者の承認を受け、物品等の購入先から発行された請求書を添付して、総務チームに回付することとされていたが、その際、納品書を当該送金依頼書に添付することとはされていなかった。
B 総務チームは、各部署から回付された送金依頼書及び請求書について、相手先、支払内容、支払銀行、稟議の有無及び支払金額の照合を行った上で、その内容を承認した後、支払及び会計処理を行っていた。
C 総務チームは、物品等の購入に係る経費計上の会計処理に当たっては、請求書のみの確認を行っており、納品の事実を確認していなかった。
・請求書は、一般に代金の支払を求める書類であって、物品等の納品の事実を示すものでない。
・本件パンフレット等の納品が遅れることを認識しつつ平成22年11月25日に本件各請求書を受領したのは、請求人の経理事務に関する慣行がある中、計画どおりの予算管理の観点から行ったものと認められる。
・K課長が本件パンフレット等の納品前に請求書の発行をL氏に依頼したことは単に経費の前払を求める書類の作成を依頼したものと認められ、請求人が、本件各請求書を本件パンフレット等の納品の事実を示す書類としてJ社から受領していたとみることはできず、本件各請求書に虚偽の記載もないことからすると、通謀により虚偽の証ひょう書類を作成したとは認められない。
・したがって、請求人が本件課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に本件パンフレット等製作費を含めたことについて、隠ぺい又は仮装の行為があったとは認められない。

(5)結果
・消費税の調査対象期間
◎平成21年12月1日から平成22年11月30日までの課税期間(以下「本件課税期間」という。)←重加算税を取消す

当該裁決のさらなる要約

・請求人は翌期に納品されたパンフレット作製経費を当期に繰上げ経費計上を行った。その際、請求人は相手方に納品前に請求書発行を求めていた。
・原処分庁は、単なる期ずれは重加算税賦課基準を満たさないため、納品前に請求書を求めた行為は、通謀による虚偽資料の作成であると主張したと推測されるが、隠ぺい仮装はなかったとされた。

弊所独自の考察

・弊所独自の視点
◎当該裁決は、当初申告は申告済みでした。
◎当該裁決は、納品日より前に発行された請求書による支払いを基準として仕入税額控除を適用したために、期ずれとなった事例と解されます。
◎当該裁決は、国税が納税者の隠ぺい仮装を主張したことはいいがかりである、と弊所が感じた事例です。なぜなら国税が単なる期ずれを通知日の隠匿虚偽記載等であるといいがかりをつけてきたように感じたからです。
◎当該裁決は、明記はありませんが、取引を把握できるような資料が存在していたと解されます。
◎当該裁決は、明記はありませんが、取引を把握できるような集計資料も存在していたと解されます。
◎当該裁決において、明記はありませんが、請求人の調査への協力具合は協力的であったと解されます。
◎当該裁決において、請求人の調査への虚偽発言は無かったと解されます。

・当該裁決から導いた弊所独自の重加算税賦課回避基準(あくまで私見であり一切の保証はできかねます)
国税が単なる期ずれについて隠匿虚偽記載等を主張してくるケースがあるのでそのようないいがかりについては否定することで重加算税賦課を回避できる可能性があります(あくまで私見であり一切の保証はできかねます)

類似する公表裁決

平成28年請求された側が請求書を自ら作成したが隠ぺい仮装を認めなかった裁決

が類似するように解されます。共通する点は、繰り上げ経費計上している点です。

しかし、

・本案件である平成25年裁決は請求される側が、相手先に請求書を要求して相手方から請求書をもらっている点
・上記の平成28年裁決は請求された側が自ら請求書を作成している点

が異なっております。

しかし、いずれにせよ、隠ぺい仮装はないとされています。