納税の猶予と換価の猶予の違い

(2026年2月11日更新)

結論

・いずれの猶予制度においても税務署長等に認めてもらうスタンスとなります。
・納税の猶予と換価の猶予の最大の違いは猶予期間における分納計画の考え方です。
・実務においては分納が2年も超えることも多く、嘆願による分納が行われています。
以下で解説します。

いずれの猶予制度においても税務署長等に認めてもらうスタンス

納税の猶予は国税通則法46条において「税務署長等は、その国税の全部又は一部の納税を猶予することができる」とあります。
換価の猶予は国税徴収法151条において「税務署長は、滞納処分による財産の換価を猶予することができる」とあります。
いずれも税務署長等に認めてもらうスタンスとなります。

納税の猶予とは

納税の猶予のルールは以下となります。
次の①から③の要件の全てに該当するときは、原則として1年以内の期間に限り、納税の猶予が認められる場合があります。
① 次のAからFのいずれかに該当する事実があること
A 納税者がその財産につき、震災、風水害、落雷、火災その他の災害を受け、又は盗難に遭ったこと
B 納税者又はその者と生計を一にする親族が病気にかかり、又は負傷したこと
C 納税者がその事業を廃止し、又は休止したこと
D 納税者がその事業につき著しい損失を受けたこと
E 納税者に上記AからDに類する事実があったこと
F 本来の期限から1年以上経過した後に、修正申告などにより納付すべき税額が確定したこと
② 猶予該当事実に基づき、納税者がその納付すべき国税を一時に納付することができないと認められること
③ 申請書が提出されていること(上記「①F」の場合は納期限までの提出

納税の猶予を改めて簡易にまとめると以下です。
①災害や病気や損失等のやむを得ない事業が発生した場合に認められる可能性がある
②税務調査前事前自主修正期限後申告の提出と同時に納税の猶予申請書を提出した場合に認められる可能性がある

税務調査における追徴税額と納税の猶予の関係性については以下です。
①税務調査のタイミングで災害や病気や損失等が発生する可能性が低く利用できない可能性が高い
②制度としては税務調査前事前自主修正期限後申告の提出と同時に納税の猶予申請書を提出した場合に認められる可能性があるものの、税務署長等が認めない可能性が高く利用できない可能性が高い

換価の猶予とは

換価の猶予のルールは以下となります。
次の①から④の要件の全てに該当するときは、原則として1年以内の期間に限り、換価の猶予が認められる場合があります。
① 国税を一時に納付することにより、事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあると認められること
② 納税について誠実な意思を有すると認められること
③ 換価の猶予を受けようとする国税以外の国税の滞納がないこと
④ 納付すべき国税の納期限から6か月以内に申請書が提出されていること

税務調査における追徴税額と換価の猶予の関係性については以下です
①税務調査における追徴税額において納税の猶予が認められるケースは少ない
②従って多くの場合、換価の猶予を利用することになる

納税の猶予と換価の猶予の最大の違いは猶予期間における分納計画の考え方

猶予の申請の手引き(国税庁)P3より
換価の猶予を受けた国税は、原則として猶予期間中の各月に分割して納付する必要があります。
猶予の申請の手引き(国税庁)P28より
納税の猶予を受けた国税について、申請者の財産や収支の状況に応じて、猶予期間中に分割して納付する方法によることを、税務署長が定めることがあります。

つまり以下と考えます。
換価の猶予→猶予期間中の分割納付が原則
納税の猶予→猶予期間中は納付自体が猶予される可能性があるが、税務署長が分割納付をお願いしてくる可能性もある

実務においては分納が2年も超えることも多い

納税の猶予、換価の猶予、いずれも最大猶予期間は2年となります。しかし実務上は2年で完済できないケースも多く、嘆願により税務署との交渉により独自のルールで分割納付するケースも多いと考えます。

まとめ

・税務調査の追徴税額について納付の猶予が利用される可能性は低い。
・税務調査の追徴は換価の猶予及び嘆願により分割納付して完済することになる。

この記事の監修者

税理士 田中亨
税理士 田中亨税務調査専門税理士
プロフィール
近畿税理士会上京支部
登録番号128205
税務調査案件を全国対応している税理士
事前自主申告による税負担の軽減に全力を尽くしている
これまで多くの税務調査案件を早期解決に導いてきた
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