(2024年10月30日作成)

結論

・当該論点については弊所の仮説及び私見となります。
・納税者の自主修正申告は最大で5年であり、6年前、7年前は提出したくても提出できないことは確実であるとの追究は完了しております。
・そうなると、納税者は偽りその他不正の行為に心当たりのある6年前、7年前を自主修正申告できないこととなり、税務調査に不安を残すこととなります。
・しかし調査対象3年又は5年と事前通知後に納税者が事前自主修正申告を5年分提出した場合は、国税通則法第74条の9第4項の「非違が疑われることとなった場合」の反対解釈として「事前自主修正申告に非違が疑われない場合は調査対象期間を6年、7年とできない、当初申告における偽りその他不正の行為は影響しない」となり、結果として5年の調査で済むというのが現状の仮説及び私見となります。
・当該仮説及び私見が正しいとすれば、税理士へ顧問料を支払ってでも事前自主修正申告5年を行うことについてのメリットの一つを見出せると解されます。

下記で詳細を記述します。

当該論点については弊所の仮説及び私見となります

弊所が導いた仮説は下記となります。

調査対象期間3年又は5年とする「事前通知後」に納税者が税務調査前事前自主修正申告をした場合には当該修正申告書が調査対象の申告書になるため、国税通則法第74条の9第4項における「非違が疑われることとなつた場合において」調査対象期間を7年とすることができる、という文言が足かせとなり、6年前・7年前の「当初申告」において偽りその他不正の行為が存在していたとしても税務調査官は6年前・7年前を調査できず結果として調査は5年で済むという、税法のバグのような穴が存在するのではないか、一方で最初の事前通知で調査対象期間7年と通知することは可能とされている

下記で検証します

納税者の自主修正申告可能対象期間は最大で5年であり、6年前、7年前は提出したくても提出できないことは確実であるとの追究は完了しております

納税者の自主修正申告可能対象期間は最大で5年あることについては下記を検証しました。

・書籍の記述
・ネット記事の記述
・国税への問合せの回答
・弊所が導いた理由及び結論

書籍の記述

遺憾ながら書籍において、納税者の自主修正申告可能対象期間は最大で5年あること、を明確に解説記述したものを見つけることはできておりません。

ネット記事の記述

修正申告は過去5年間分行うことができますが、6年以上前のものについては修正を行うことはできません、という記述を見つけることができましたが、当該根拠についての言及はありませんでした。

国税への問合せの回答

・法人税課への問合せの結果、例えば売上除外という偽りその他不正の行為を10期前から行っていたとしても自主修正申告は5期前までしか提出することはできない、6期前・7期前分を仮に提出した場合は無効となる、無効となるが本税の納付が必要であったり理由を聞かれたりする、という一部理解が不能な回答となりました。

・所得税課への問合せの結果、例えば売上除外という偽りその他不正の行為を10年前から行っていたとしても自主修正申告は5年前までしか提出することはできない、6年前・7年前分を仮に提出した場合は無効となる、また理由を聞かれたりする、という回答となりました。

弊所が導いた理由及び結論

国税通則法23条1項の更正の請求の規定より、法定申告期限から5年に限り納税者は更正の請求ができるとあるため、修正申告についてもこれに合わせることになるのではないか、という推測となります。

そうなると、納税者は偽りその他不正の行為に心当たりのある6年前、7年前を自主修正申告できないこととなり、税務調査に不安を残すこととなります

・税務署から調査通知を受け、その後事前通知で調査対象期間を3年又は5年と通知された
・売上除外という偽りその他不正の行為を10年(期)前から行っている自覚があった
・しかし、税務調査前事前自主修正申告は5年(期)前分しか提出できない
・そうすると、税務調査において6年(期)前、7年(期)前の偽りその他不正行為を指摘され、過少申告加算税又は隠ぺい仮装とも指摘され重加算税が賦課されることは、どうやっても回避できないシステムとなる

と解されます。しかし、後述しますが、

税法のバグのような穴が存在し、上記の現象は起きにくい、むしろ起こらない可能性があります。

しかし調査対象3年又は5年と事前通知後に納税者が事前自主修正申告を5年分提出した場合は、国税通則法第74条の9第4項の「非違が疑われることとなった場合」の反対解釈として「事前自主修正申告に非違が疑われない場合は調査対象期間を6年、7年とできない、当初申告における偽りその他不正の行為は影響しない」となり、結果として5年の調査で済むというのが現状の仮説及び私見となります

下記を検証しました。

・書籍の記述
・ネット記事の記述

書籍の記述

遺憾ながら書籍において、調査対象期間3年又は5年と事前通知を受けた後、調査初日の前日までに事前自主修正申告をした場合には、偽りその他不正の行為が当初申告に存在したとしても6年前、7年前遡及とはならず、最大5年で済むという言及を見つけることはできておりません。

ネット記事の記述

・ある国税OBのA氏の見解は下記でした
●調査対象年分が延びるのは対象年分を調査した結果として、それ以前の期に「非違が疑われることとなった場合」に限られることになり、逆に言うとこの要件に該当しない場合、調査対象年分が延びることはない
●調査が始まる前に提出された修正申告がある場合、その修正申告が調査の対象となるのであって、当初申告は関係ない
●たとえ当初申告で脱税していたとしても、調査前に修正申告を提出した場合は、「その修正申告内容において」脱税していない限り、7年遡及はない

・ある国税OBのB氏の見解は下記でした
●事前自主修正申告のメリットは、税務調査の対象期間として7年遡及される可能性が低くなること
●事前自主修正申告した場合に、6年前・7年前に偽りその他不正の行為があるという理由で当該2年分について追加で修正申告書の提出を求められたことはありません

・税務についての質問掲示板のやり取りでは下記でした
●事前自主修正申告5年分を提出しても税務調査官は、当初申告に偽りその他不正の行為の非違があるとして6、7年前も調査宣言をされました、これは妥当なのでしょうか、という質問
●ある国税OBの回答としては、私はそのような経験はない、しかし事前自主修正申告を提出しても当初申告を調査対象と考える調査官は存在するようである、という回答

以上より、弊所においても「仮説及び私見」とさせていただきます。

当該仮説及び私見が正しいとすれば、税理士へ顧問料を支払ってでも事前自主修正申告5年を行うことについてのメリットの一つを見出せると解されます

税務調査専門税理士へ事前自主う修正申告を伴う高額な税理士報酬を支払ってでも依頼するかどうかの判断、天秤にかける内容としては下記となります。

・税務調査専門税理士への事前自主修正申告5年分税理士報酬+事前自主修正申告算出の本税最大5年分+無申告加算税or過少申告加算税
・税務調査専門税理士への税理士報酬0円+基本的には税務調査官が指摘する本税をベースとした本税最大7年分の可能性+無申告加算税or過少申告加算税or重加算税

これもあくまで私見ですが両者を比較した場合は、税務調査専門税理士へ依頼するメリットは大きいのではないでしょうか。

まとめ

上記内容はあくまで、「現段階における弊所の仮説及び私見」となります。