税務調査の結末の多くは税務署が作成した見本の修正申告書をそのままなぞって提出することになる理由
(2026年1月21日更新)
結論
平成25年(2013年)1月1日以後の税務調査においても、税務調査の結末が更正ではなく納税者の修正申告であれば、
・増差所得や本税について不服申立ての可能性を残さない
・増差所得や本税について理由付記が不要となる
ため、調査官は修正申告を望んでいると解されます。
以下で詳細を記述します。
不服申立と理由付記の改正前と後の比較
平成25年(2013年)1月1日以降の税務調査とそれ以前の不服申立と理由付記20260121
まず上記の表をご覧ください読み取れる内容は以下となります。
・過去から現在においても更正ではなく修正申告であれば不服申し立ての可能性が無いという税務署にとってのメリットがあります。
・改正後の現在においても更正ではなく修正申告であれば本税の理由付記が不要という税務署にとってのメリットがあります。
税務調査の結末の多くは、税務署が指摘した誤りに基づく税務署が修正した申告書を納税者にそのままなぞらせ再現させた申告書を提出させる、という奇妙な結末です
税務調査を受け、誤りを指摘され、結果修正申告の提出となった、と聞くと、税務署が「この金額、この申告書、この納税額で処分する」と納税者に突きつけ、納税者はそれにしぶしぶ同意する、ようなイメージかと思われます。これを、更正、更正処分と言いますが実はこちら(更正)の方がめずらしいとされています。多くのケースは、誤りの指摘にもとづいて、税務署が申告書の見本のようなものを提示してくるので、それをそのまま納税者に再現させて提出させることになります。
なぜこのような現象が生じるのでしょうか?
(不服申し立てをするつもりのない)納税者にしてみれば修正申告も更正処分も同じである
税務調査で税金の計算に誤りが発見された場合、「法的には」2つの終わり方が存在します。1つは修正申告でもう一つは更正です。現実には税務調査のほとんどが修正申告で終わります。
・修正申告、税務調査の中で、調査官の指摘になっとくし、自ら誤りを認めてするもの
・更正、税務調査の中で、調査官に否認指摘されたが、納得できないので修正申告を提出しなかったところ、税務署側から処分されるもの
納税者側において修正申告と更正では支払うべき追徴税額は全く同じです、ただ不服申立ての可能性が残るか残らないかです。言い換えると、不服申し立てをするつもりのない納税者においては、修正申告も更正も同じとなります。
不服申立てとは、税務署からの処分に納得できない場合、納税者が裁判の前段階で税務署もしくは国税不服審判所に訴えを起こすことをいいます。修正申告は、自ら納得してするものであるため、救済措置である不服申立てができません。しかし、更正の場合は行うことができます。
加算税賦課処分はずっと不服申立可能です
勘違いしがちですが、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、重加算税という「加算税」は「賦課処分」ですのでそもそも以前からずっと不服申立可能です。
まずは税務署が修正申告書の見本のようなものを作成してくれる理由について
では修正申告の場合は、税務署は納税者に対して「今回の修正点を考慮して修正申告を作成して後日提出お願いします」と投げかけるだけでもよいのでは?という疑問が生じます。税務署がわざわざ見本を作成してくれるなんて親切ですね、とも解釈できるかもしれませんが、これは税務署の狙いによるものでもあります。
例えば無申告者の無申告の理由も様々かと思われます。会計や税務について知識を有しているがあえて作成しない無申告者、あるいは計算ができない、集計ができない、税金計算が本当にできない無申告者も存在すると思います。税務署からすれば、税務調査を行い、修正の内容について納税者に理解を求める作業を行い、そして修正する金額を算出し、最後に「では、納税者さん、今回の修正内容で修正申告をお願いします」と伝えたにも関わらず「私はできない、確定申告書の作成方法がわからないから無申告だったのです。作成してください、と言われてもできない、わからない、そんな難しいことは私には無理です」と最後の最後に主張され、さらに時間がかかるケースが想定されます。
おそらくそのようなケースを避けるために「あとは書き写すだけ」の見本のような申告書を作成するだけの状態にしているのだと思います。申告書の見本をわざわざ作成してくれるなんて、税務署は、国は優しいですね、というよりかは、税務署が効率よく業務をすすめるための仕組みと解されます。
加算税に対する理由付記、特に重加算税の理由付記が開始されたことは画期的であり期待されましたが、期待通りにはいかないようです
こちらのページをご参考ください。
現在も存在すると思われる理不尽な調査及び理不尽な重加算税については反論しましょう
隠蔽(いんぺい)仮装行為については不明確でありかつ理由付記が存在しなかったために、言わば「処分庁の言いたい放題、やりたい放題」ではないか、という批判がありました。改正により「少なくとも重加算税の理由が付記される、つまり理由が明らかになる」と期待されたところですが、結果としては「外部からもうかがいうる特段の行動という文言を利用した総合勘案による重加算税」が存在するようです。
まとめ
税務署が修正申告や期限後申告の見本を納税者に提示する理由は親切という意味ではなく調査を素早く終わらせるための誘導と考えられます。
この記事の監修者

- 税務調査専門税理士
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プロフィール
近畿税理士会上京支部
登録番号128205
税務調査案件を全国対応している税理士
事前自主申告による税負担の軽減に全力を尽くしている
これまで多くの税務調査案件を早期解決に導いてきた
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