(2020年4月18日作成)(2023年12月27日再編集)

結論

・税務調査開始前であれば税務調査日の前日までに事前に自主修正申告をすれば重加算税を回避できることは国税通則法において明記されています。
・税務調査開始後、税務調査中において「隠ぺい仮装」が認定されると重加算税が賦課されると法律に定められています。しかし、うっかりミスは隠ぺい仮装ではありません。
・そうすると税務調査開始後、税務調査中における重加算税回避方法として、隠ぺい仮装ではなくうっかりミスであることを主張することは、方法論としては正解と解されます。
・実際に、国税不服審判所の公開裁決において処分庁が言いがかりのような重加算税賦課の主張をしてくるケースが散見されます。そのような場合は、うっかりミスであると主張することは有効と解されます。
・また、国税不服審判所の公開裁決において処分庁が納税者の隠ぺい仮装を主張したことは言いがかりとは言えないケース、さらに処分庁が隠ぺい仮装を主張したのはいいがかりとはいえない事例でむしろ隠ぺい仮装が妥当するように解されたが隠ぺい仮装が認められなかったケースも存在しました。これらのケースは重加算税が賦課されてもおかしくないケースでした。そうすると、とにかく最後までうっかりミスであること、失念であること、紛失であること、意図的ではないことを主張することは有効と解されます。
・しかし、うっかりミスであると主張することは方法論として正解と解されますが、すべてのケースにおいて重加算税賦課を回避できるかどうかは別問題です。むしろすべて回避可能であれば、重加算税制度そのものが成り立たないことになります。
・一部批判は存在するものの、税務調査、国税不服審判所、裁判所における「総合勘案による隠ぺい仮装の認定、判断」は現在認められており、抗うことは困難と解されます。
・したがって、うっかりミスと言い張ることは自由ですが、実際に重加算税を回避できるかどうかについては、税務調査、国税不服審判所、裁判所における事実認定と判断によることとなります。

税務調査開始前であれば税務調査日の前日までに事前に自主修正申告をすれば重加算税を回避できることは国税通則法において明記されています。

別ページで何度も記述しておりますが、税務調査開始前であれば、事前に自主修正申告すれば重加算税賦課を回避できることは国税通則法に明記されています。

国税通則法第68条1項において調査通知後でも調査日の初日の前日までに修正申告すれば重加算税は回避できると定義づけられています

税務調査開始後、税務調査中において「隠ぺい仮装」が認定されると重加算税が賦課されると法律に定められています。しかし、うっかりミスは隠ぺい仮装ではありません。

重加算税の根拠規定

・過少申告加算税に代わる重加算税(国税通則法68条1項)
過少申告加算税が課される場合において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となる事実の全部又は一部を仮装・隠ぺいし、その仮装・隠ぺいしたところに基づいて納税申告書を提出していたときは、過少申告加算税の基礎となる税額の35%に相当する重加算税が課せられる。

・無申告加算税に代わる重加算税(国税通則法68条2項)
無申告加算税が課される場合において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となる事実の全部又は一部を仮装・隠ぺいし、その仮装・隠ぺいしたところに基づいて期限内申告書の提出をせず又は期限後申告書を提出したときは、無申告加算税の基礎となる税額の40%に相当する重加算税が課せられる。

重加算税の要件

つまり「計算の基礎となる事実の全部又は一部を仮装・隠ぺい」が重加算税賦課の要件です。したがって、うっかりミスであれば重加算税は賦課されないことになります。

そうすると税務調査開始後、税務調査中における重加算税回避方法として、隠ぺい仮装ではなくうっかりミスであることを主張することは、方法論としては正解と解されます。

国税不服審判所の公開裁決において処分庁が言いがかりのような重加算税賦課の主張をしてくるケースが散見されます。そのような場合は、うっかりミスであると主張することは有効と解されます。

国税不服審判所公表裁決隠ぺい仮装を認めなかった事例の中には、処分庁がいいがかりのような隠ぺい仮装を主張する事例が存在した

国税不服審判所の公開裁決において処分庁が納税者の隠ぺい仮装を主張したことは言いがかりとは言えないケース、さらに処分庁が隠ぺい仮装を主張したのはいいがかりとはいえない事例でむしろ隠ぺい仮装が妥当するように解されたが隠ぺい仮装が認められなかったケースも存在しました。これらのケースは重加算税が賦課されてもおかしくないケースでした。そうすると、とにかく最後までうっかりミスであること、失念であること、紛失であること、意図的ではないことを主張することは有効と解されます。

国税不服審判所公表裁決隠ぺい仮装を認めなかった事例の中には、処分庁が隠ぺい仮装を主張したのはいいがかりとはいえない事例で隠ぺい仮装が認められなかった事例が存在した

国税不服審判所公表裁決隠ぺい仮装を認めなかった事例の中には、処分庁が隠ぺい仮装を主張したのはいいがかりとはいえない事例でむしろ隠ぺい仮装が妥当するように解されたが隠ぺい仮装が認められなかった事例が存在した

うっかりミスであると主張することは方法論として正解と解されますが、すべてのケースにおいて重加算税賦課を回避できるかどうかは別問題です。むしろすべて回避可能であれば、重加算税制度そのものが成り立たないことになります。

つまり、税務調査が開始している状況で重加算税を回避するためにはまずうっかりミスであること、故意ではないこと、失念であること、紛失であること、を主張することが方法論としては正解となります。しかし、当該方法においてすべてのケースで重加算税が回避されたとすれば重加算税制度そのものが成り立たないことになります。そこで、税務調査の調査官、国税不服審判所、裁判所が行う隠ぺい仮装の有無の判断は次のような流れとなります。

・重加算税の取り扱いについての事務運営指針に該当するような行為があったかどうかを判断する
・重加算税の取り扱いについての事務運営指針に該当するような行為が無かった場合は「当初から過少申告の意図を外部からうかがい得る特段の行動があったかどうか」という総合勘案を用いて隠ぺい仮装の有無を判断する

となります。

国税不服審判所公表裁決隠ぺい仮装を認めなかった事例の中には、法令解釈において最高裁平成7年4月28日判決のその意図を外部からもうかがい得る特段の行動を引用して判断されたが隠ぺい仮装が認められなかった事例が存在した

また、弊所が独自に算出したものとして、「決要旨検索システムを利用した統計から算出した裁決で争った場合の重加算税賦課回避可能性は15%という弊所独自の見解」があります。つまり、税務調査においてうっかりミスと言い続け、国税不服審判所における裁決においてもうっかりミスと言い続けても、裁決で争った場合の重加算税賦課回避可能性は15%という確率を導きだしました。

裁決要旨検索システムを利用した統計から算出した裁決で争った場合の重加算税賦課回避可能性は15%という弊所独自の見解

一部批判は存在するものの、税務調査、国税不服審判所、裁判所における「総合勘案による隠ぺい仮装の認定、判断」は現在認められており、抗うことは困難と解されます。

税理士鴻秀明の隠ぺい仮装の拡大解釈や総合勘案による重加算税賦課はすべきでないという意見

以上より、うっかりミスと言い張ることは自由ですが、実際に重加算税を回避できるかどうかについては、税務調査、国税不服審判所、裁判所における事実認定と判断によることとなります。

まとめ

うっかりミスと言い張ることは自由ですが、実際に重加算税を回避できるかどうかについては、税務調査、国税不服審判所、裁判所における事実認定と判断によることとなります。

 

過少申告かつ偽りその他不正の行為、隠ぺい仮装に心当たりがある方で調査通知があった方、あきらめないでください、調査通知後から調査日の前日までに自主修正申告をすれば重加算税を回避できることが国税通則法第68条1項に定義づけられています!(こちらの解説ページをご参考ください)

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