(2023年7月21日作成)

結論

何か特別なテクニックがあるわけでは無く、まず再発行し、できなければ思い出して伝票を作成となります。

近年の税法改正の影響

始めに申し上げておきますと、下記の改正があったからといって「やること」は改正前も改正後も変わらない、ということはお伝えしておきます。

証拠書類のない簿外経費の必要経費不算入・損金不算入措置、いわゆる後出し簿外経費を認めない改正、が導入されました。

内容の詳細については別ページにて解説しますが、

・個人事業主も法人も
隠蔽仮装行為を税務調査中に指摘された場合、無申告を税務調査中に指摘された場合は、
・保存している帳簿書類により取引が明らかになる場合のみ仕入・経費となる
・ただ資産の販売・譲渡における当該資産の取得に直接要した仕入れ等については改正の影響を受けず、後出しや推計による主張が改正後も可能です。

となりました。

・個人事業主は令和5年(2023年)1月1日から適用
・法人は令和5年(2023年)1月1日開始事業年度から適用

となります。

以下は弊所独自の視点ですが、当該改正で受ける影響は下記と考えられます。

・「重加算税案件及び無申告案件において」税務調査開始後、税務調査中において、仕入・経費の資料が乏しいためある程度の経費を認めてほしいという主張が完全に認められなくなる。
・「重加算税案件及び無申告案件において」税務調査開始後、税務調査中において後出しした経費について、改正後においても、「当該相手方に対する調査その他の方法により税務署長が、当該取引が行われ、これらの額が生じたと認める場合」は「仕入・経費として認める」とあるが、法の趣旨をたてとして、「税務署長が積極的に調査しようとしない」のではないか?(2023年7月21日時点では不明)

と考えられます。詳しくは別ページで解説いたします。

後出し簿外経費改正対象事業年度(令和5年(2023年)1月1日以前)にレシート領収書が何もない場合にやるべきこと

税務調査開始日の初日の前日までにするべきこと

・第一順位、ネット購入履歴から集計して、仕入・経費を計上して確定申告書を作成提出する。
・第二順位、通帳からの振り込み支払いのための過去通帳を再発行し、集計(消費税仕入税額控除の観点からは不十分)して、仕入・経費を計上して確定申告書を作成提出する。
・第三順位、クレジットカード利用明細を再発行(消費税仕入税額控除の観点からは不十分)して、仕入・経費を計上して確定申告書を作成提出する。
・第四順位、メール履歴、ライン履歴、手帳のメモ書きから相手方に再発行を依頼して、仕入・経費を計上して確定申告書を作成提出する。
・第五順位、メール履歴、ライン履歴、手帳のメモ書きから思い出して自身で出金伝票を作成(所得税・法人税法上あまり望ましい資料ではなく、消費税仕入税額控除の観点からも不十分)して、仕入・経費を計上して確定申告書を作成提出する。
・第六順位、資料が全く無いためその他合理的な方法で概算推計仕入・経費を計上して確定申告書を作成提出する。

 

税務調査開始後、開始中にすべきこと

・第一順位、ネット購入履歴から集計して、仕入・経費を計上して主張する。
・第二順位、通帳からの振り込み支払いのための過去通帳を再発行し、集計(消費税仕入税額控除の観点からは不十分)して、仕入・経費を計上して主張する。
・第三順位、クレジットカード利用明細を再発行(消費税仕入税額控除の観点からは不十分)して、仕入・経費を計上して主張する。
・第四順位、メール履歴、ライン履歴、手帳のメモ書きから相手方に再発行を依頼して、仕入・経費を計上して主張する。
・第五順位、メール履歴、ライン履歴、手帳のメモ書きから思い出して自身で出金伝票を作成(所得税・法人税法上あまり望ましい資料ではなく、消費税仕入税額控除の観点からも不十分)して、仕入・経費を計上して主張する。
・第六順位、資料が全く無いためその他合理的な方法で概算推計仕入・経費を計上して主張する。

 

後出し簿外経費改正対象事業年度(令和5年(2023年)1月1日以後)にレシート領収書が何もない場合にやるべきこと

税務調査開始日の初日の前日までにするべきこと

・第一順位、ネット購入履歴から集計して、仕入・経費を計上して確定申告書を作成提出する。
・第二順位、通帳からの振り込み支払いのための過去通帳を再発行し、集計(消費税仕入税額控除の観点からは不十分)して、仕入・経費を計上して確定申告書を作成提出する。
・第三順位、クレジットカード利用明細を再発行(消費税仕入税額控除の観点からは不十分)して、仕入・経費を計上して確定申告書を作成提出する。
・第四順位、メール履歴、ライン履歴、手帳のメモ書きから相手方に再発行を依頼して、仕入・経費を計上して確定申告書を作成提出する。
・第五順位、メール履歴、ライン履歴、手帳のメモ書きから思い出して自身で出金伝票を作成(所得税・法人税法上あまり望ましい資料ではなく、消費税仕入税額控除の観点からも不十分)して、仕入・経費を計上して確定申告書を作成提出する。
・第六順位、資料が全く無いためその他合理的な方法で概算推計仕入・経費を計上して確定申告書を作成提出する。

 

税務調査開始後、開始中にすべきこと

・第一順位、ネット購入履歴から集計して、仕入・経費を計上して主張する。
・第二順位、通帳からの振り込み支払いのための過去通帳を再発行し、集計(消費税仕入税額控除の観点からは不十分)して、仕入・経費を計上して主張する。
・第三順位、クレジットカード利用明細を再発行(消費税仕入税額控除の観点からは不十分)して、仕入・経費を計上して主張する。
・第四順位、メール履歴、ライン履歴、手帳のメモ書きから相手方に再発行を依頼して、仕入・経費を計上して主張する。
・第五順位、メール履歴、ライン履歴、手帳のメモ書きから思い出して自身で出金伝票を作成(所得税・法人税法上あまり望ましい資料ではなく、消費税仕入税額控除の観点からも不十分)して、仕入・経費を計上して主張する。
第六順位、資料が全く無いためその他合理的な方法で概算推計仕入・経費を計上して主張する。(「重加算税案件及び無申告案件において」後出し簿外経費改正により認められなくなりました、ただ資産の取得に直接要した仕入は後出し簿外経費の主張は可能です。)(また、隠蔽・仮装の無い過少申告案件であれば、後出し簿外経費の主張が可能です)

以上より「重加算税案件及び無申告案件において」後出し簿外経費改正前後の唯一の差は、調査開始後、調査開始中の概算推計見込み仕入・経費の主張が認められなくなる点です

領収書レシート資料が残っていない場合の最後の望みは、概算推計見込み仕入・経費の計上かと思います。しかし、上記の通り、後出し簿外経費改正後の場合は、その最後の望みが調査開始後にはなくなってしまいます。

しかし、調査日の初日の前日までに事前に修正申告する場合は、後出し簿外経費改正後であっても、概算推計見込み仕入・経費の計上の可能性が残されています。やはり調査日の初日の前日までに事前に自主申告することが時代に合っているのかもしれません

過少申告かつ偽りその他不正の行為、隠ぺい仮装に心当たりがある方で調査通知があった方、あきらめないでください、調査通知後から調査日の前日までに自主修正申告をすれば重加算税を回避できることが国税通則法第68条1項に定義づけられています!(こちらの解説ページをご参考ください)

税務署から電話があっても慌てないでください!調査開始前であればまだ対応策は残されております。弊所にご連絡ください!