(2023年11月10日作成)
当該ページの活用方法
・当該裁決の内容を理解する
・ご自身の税務調査に当てはまる、活用できそうなら、当該裁決内容及びあだ名を覚える
・ご自身の税務調査の場で活用させる
平成23年2月23日裁決のオリジナルのあだ名
平成23年複雑な経理による仮受金勘定売上振替失念は隠ぺい仮装を認めなかった裁決
当該裁決のまとめ
前提
・原文ではなく、弊所が内容を編集しております
・上記にもあるように、弊所の私見による内容の編集、見解を記述しているにすぎません。
本判決で弊所が分析できていない点
・※平成23年12月2日以前に法定申告期限が到来する国税の増額更正は、偽りその他不正の行為が存在しなければ処分日から法人は5年以内のはずであるが、5年以降の増額更正処分されている点を現在追究しております。
※※成23年12月2日以前に法定申告期限が到来する国税は法定申告期限を5年超えると提出できないはずですが、提出されている件について現在追究しております。
裁決の内容、要約、編集
(1)事案の概要
・本件は、審査請求人(以下「請求人」という。)が、仮受金勘定に計上された金額は売上げに計上すべきであったなどとして法人税並びに消費税及び地方消費税の修正申告をしたところ、原処分庁が、請求人の仮受金に関する経理処理が隠ぺい又は仮装に当たるなどとして重加算税の賦課決定処分を行ったことに対し、請求人が、当該処理は隠ぺい又は仮装に当たらないとして同処分の一部の取消しを求めた事案である。
・修正申告の勧奨による提出日→平成21年12月21日(※※平成23年12月2日以前に法定申告期限が到来する国税は法定申告期限を5年超えると提出できないはず)
・処分日←平成21年12月25日
・法人税及び消費税の調査対象期間
◎平成14年2月1日から平成15年1月31日→法定申告期限平成15年3月31日←処分日平成21年12月25日から7年以内(※平成23年12月2日以前に法定申告期限が到来する国税の増額更正は、偽りその他不正の行為が存在しなければ処分日から法人は5年以内のはず)
◎平成15年2月1日から平成16年1月31日→法定申告期限平成16年3月31日←処分日平成21年12月25日から6年以内(※平成23年12月2日以前に法定申告期限が到来する国税の増額更正は、偽りその他不正の行為が存在しなければ処分日から法人は5年以内のはず)
◎平成16年2月1日から平成17年1月31日→法定申告期限平成17年3月31日←処分日平成21年12月25日から5年以内
◎平成17年2月1日から平成18年1月31日→法定申告期限平成18年3月31日←処分日平成21年12月25日から4年以内
◎平成18年2月1日から平成19年1月31日→法定申告期限平成19年3月31日←処分日平成21年12月25日から3年以内
◎平成19年2月1日から平成20年1月31日→法定申告期限平成20年3月31日←処分日平成21年12月25日から2年以内
◎平成20年2月1日から平成21年1月31日→法定申告期限平成21年3月31日←処分日平成21年12月25日から1年以内
・請求人は、食品の卸売業を目的として平成6年2月○日に設立された法人である。
・請求人の主な事業は、スーパーマーケット又はデパート等(以下「スーパー等」という。)の店頭などの場所を借りて、第三者に商品の販売を行わせるものであり(以下、請求人の事業を「本件事業」といい、商品の販売を行う第三者を「本件売子」という。)、
◆本件売子が請求人から仕入れた商品を販売する取引(以下「本件販売員取引」という。)と
★本件売子が自ら調達した商品を販売する取引(以下「本件帳合先取引」という。)の2つの形態がある。
・請求人は、スーパー等から、本件事業に係る商品販売の売上金のうちスーパー等の取り分(以下「本件歩銭」という。)を差し引かれた後の金員(以下「本件受取金員」という。)を受け取り、当該金員から、次の(イ)から(ニ)までの各金員を控除した後の金員(以下「本件売子支払金員」という。)を本件売子に支払っている。
(イ) 請求人の収入となるロイヤリティ(以下「本件帳合料収入」という。)。
(ロ) スーパー等の販路の拡張に携わった者(以下「本件拡張員」という。)に支払う帳合料(以下「本件拡張員帳合料」という。)。
(ハ) 請求人が、本件売子に対して提供した本件事業に係る商品販売に使用する販売台や車両などの賃料収入等
(以下「本件リース料収入」という。)。
(ニ) 請求人からの仕入代金など及び請求人が立て替えて支払った本件事業に係る商品販売における各種の経費(以下「本件立替経費」という。)など。
・本件売子支払金員の支払に際して作成される帳票等について、
◆本件販売員取引=◆本件支払明細書を作成していた
◆本件支払明細書の記載事項
商品販売売上高
-本件歩銭
-本件拡張員帳合料
-本件帳合料収入
-本件リース料収入
-本件立替経費
=本件売子支払金員
★本件帳合先取引=★本件御取引先別台帳
商品売上高
-本件リース料収入
-本件立替経費
=本件売子支払金員
●また、本件帳合先取引に係る本件帳合料収入については、スーパー等ごとに集計した表(以下「●本件帳合料収入一覧表」という。)を作成している。
・請求人が収受した本件受取金員については仮受金勘定に計上され、本件帳合料収入については仮受金勘定から売上勘定に振り替えられていたところ、本件拡張員帳合料については、その支出時に外注費勘定に計上する経理処理はされていたものの、それに対応する仮受金勘定について売上勘定に振り替えられておらず、本件リース料収入及び本件立替経費については、固定資産の減価償却費の計上や経費処理などがされていたところ、それに対応する仮受金勘定について、本件販売員取引に関する分は売上勘定などに振り替えられたが、本件帳合先取引に関する分は同じ経理処理がされなかったため、仮受金勘定のまま残ることとなった。
・請求人は、本件拡張員帳合料に関しては、本件販売員取引及び本件帳合先取引による各支払金額を本件拡張員ごとに記載した「支払一覧表」と題する帳票を作成するなどして、その支払額を、■現金出納帳に業務委託手数料と記帳していた。
(2)争点
仮受金勘定の一部を適正に経理処理をしていなかったことが隠ぺい又は仮装に当たるか否か。
(3)引用された最高裁判決判例、地裁判決
明記はありませんが、最高裁平成7年4月28日判決=オリジナル命名:最高裁平成7年積極的な隠蔽なしの無申告だが当初から過少申告の意図を外部からうかがい得る行動した判決、を引用したと解されます。
(4)審判所の判断
・請求人は、D税理士に対し、
■現金出納帳、
◆本件販売員取引に関する資料として本件支払明細書及び
●本件帳合先取引に関する資料として本件帳合料収入一覧表を提出したものの、
★本件御取引先別台帳は提出しなかった。
・★本件御取引先別台帳は、請求人の事務所内の書庫に他の帳簿書類等と一緒に保管されており、請求人の関係者はこれを自由に見ることができる状態にあった。請求人は、本件調査において、本件御取引先別台帳を他の帳簿書類とともに本件調査担当職員に提示した。
・★本件御取引先別台帳不提出について、当該取引に係る本件拡張員帳合料が計上されている「■現金出納帳」をD税理士に提出していたことからすれば、本件帳合先取引の明細が記載された「★本件御取引先別台帳」をD税理士に提出していないとはいえ、D税理士において本件販売員取引及び本件帳合先取引のいずれに関しても本件拡張員帳合料が発生していることを容易に知り得るだけの資料を提出していたというべきである。そして、本件御取引先別台帳の保管状況はそれが隠匿されていたとはいい難いものであり、本件調査における請求人の態度は本件御取引先別台帳を隠匿しようという態度であるとはいい難い。
・本件拡張員帳合料の経理処理について、請求人の経理処理の方法を主導したのが設立当初の関与税理士であるから、請求人が主導的にD税理士に誤った経理処理をさせたとの事実の存在には疑問を抱かざるを得ず、D税理士の事務員であるEが、請求人の取引について既に熟知しており、設立当初の関与税理士主導の下に経理処理の方法が確立していたのであるから、請求人が取引内容の具体的説明をD税理士自身にしなかったからといって、それが故意の隠ぺい又は仮装の行為であるとか、過少申告の確定的意図を外部からうかがい得る特段の行動であるなどということはできない。また、上記の事実に照らすと、現金出納帳の記載についても税理士若しくはEの指導に基づくものである可能性を否定できず、これをもって、請求人が故意に誤った記載をしたものとまでいうことはできないだけでなく、請求人に過少申告の確定的意図があったということもできない。
・仮受金勘定の経理処理について、これらのことからすれば、請求人、D税理士及びEが、帳簿書類等について十分な検討をし、かつ、意思疎通を十分に図るなどして原因を解明して適正な経理処理をすべきであり、請求人の経理処理が適正さを欠いた処理であったことについて非難を加えられるべきことであったとしても、請求人が積極的な意思をもってあえて適正な経理処理を行うことなくこれを放置したとまで認めるには至らず、かかる仮受金勘定の誤った経理処理をもって、故意の隠ぺい又は仮装の行為や過少申告の確定的意図を外部からうかがい得る特段の行動があったとまでいうことはできない。
(5)結果
◎平成14年2月1日から平成15年1月31日→法定申告期限平成15年3月31日←処分日平成21年12月25日から7年以内(※平成23年12月2日以前に法定申告期限が到来する国税の増額更正は、偽りその他不正の行為が存在しなければ処分日から法人は5年以内のはず)←重加算税を取消す
◎平成15年2月1日から平成16年1月31日→法定申告期限平成16年3月31日←処分日平成21年12月25日から6年以内(※平成23年12月2日以前に法定申告期限が到来する国税の増額更正は、偽りその他不正の行為が存在しなければ処分日から法人は5年以内のはず)←重加算税を取消す
◎平成16年2月1日から平成17年1月31日→法定申告期限平成17年3月31日←処分日平成21年12月25日から5年以内←重加算税を取消す
◎平成17年2月1日から平成18年1月31日→法定申告期限平成18年3月31日←処分日平成21年12月25日から4年以内←重加算税を取消す
◎平成18年2月1日から平成19年1月31日→法定申告期限平成19年3月31日←処分日平成21年12月25日から3年以内←重加算税を取消す
◎平成19年2月1日から平成20年1月31日→法定申告期限平成20年3月31日←処分日平成21年12月25日から2年以内←重加算税を取消す
◎平成20年2月1日から平成21年1月31日→法定申告期限平成21年3月31日←処分日平成21年12月25日から1年以内←重加算税を取消す
当該裁決をさらに要約
・請求人は過去指導を受けた税理士の仮受金を使用した複雑な経理処理を採用していた結果、経理ミスによる売上計上漏れが発生した。
・請求人の経理処理が適正さを欠いたとしても隠ぺい仮装には該当しない、とされました。
弊所独自の考察
・弊所独自の視点
◎当該裁決は、当初申告は申告済みでした。
◎当該裁決は、国税が納税者の隠ぺい仮装を主張したことはいいがかりだ、と弊所が感じた事例です。なぜなら複雑な経理処理が原因であろうと思われるミスを、国税が隠ぺい仮装を主張したからです。
◎当該裁決は、最高裁平成7年外部からうかがい得る特段の行動判決における、外部からうかがい得る特段の行動部分を引用しています。
◎当該裁決は、取引を把握できるような資料の保存があった。
◎当該裁決は、取引を把握できるような集計資料の保存があった。
◎当該裁決は、経理処理作業が複雑であった。
◎当該裁決は、税理士の関与があった。
◎当該裁決は、一部税理士へ未提出の資料があった
◎当該裁決において、請求人の調査への協力具合は不明である。
◎当該裁決において、請求人の調査への虚偽発言の有無は不明である。
・当該裁決から導いた弊所独自の重加算税賦課回避基準(あくまで私見であり一切の保証はできかねます)
経理処理の複雑さ及び難易度を主張すれば重加算税賦課を回避できる可能性があります。(あくまで私見であり一切の保証はできかねます)