(2023年9月28日作成)
注意すべき前提のお話
◎谷原誠、「税務のわかる弁護士が教える税務調査における重加算税の回避ポイント」、ぎょうせい、令和元年12月1日における谷原誠の前提
・現在通用すると税理士谷原誠が考える最高裁判例から、税理士谷原誠が最高裁ルールを抽出し、あくまで税理士谷原誠私見のフォーミュラ(公式)を提示している
・学説等は取り上げず、あくまで最高裁判決のみから分析している
という点をまずはしっかりと記憶お願いいたします。
◎税理士谷原誠はなぜ最高裁判決にこだわるのか?最高裁判決のみで公式を算出しても良いのか?最高裁判決と法律の関係については、こちらのページをご参考ください。
税理士谷原誠は最高裁平成7年4月28日判決から<谷原誠ルール1>及び<谷原誠ルール3>を抽出しています
<谷原誠ルール1>隠ぺい又は仮装行為と過少申告との関係
過少申告行為そのものとは別に、隠蔽、仮装と評価すべき行為が存在し、これに合わせた過少申告がされたかどうか
<谷原誠ルール3>積極的な行為が無い場合
納税者が、当初から所得を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたかどうか
弊所がおすすめする最高裁平成7年4月28日判決の呼び方
まず裁判例、判例を呼ぶ時、人と議論するとき、人に説明するときにおいては、「最高裁平成○○年○月○日判決」とか「○○地裁平成○○年○月○日判決」のように呼びます。わかりにくいというか呼びにくいですよね?ただ、これ仕方がないことだと思います。例えば、弊所はブラザーのレーザープリンターを利用しているのですが、インクトナーを交換するときは「TN-29J」を購入します。「ブラザーのトナー買っといて」と人に頼んでも「型番はどれ?」となります。商品で記号番号が付されても覚えにくいです、でも覚えるしかありません、私も「TN-29J」は嫌でも暗記しました。
裁判例の話に戻しますとやはり「最高裁平成○○年○月○日判決」と呼ぶしかないわけですが、有名な判例にはその裁判のテーマや内容を表す名前、あだ名がつくことがあります。最高裁平成7年4月28日判決には特にあだ名がありません。。
そこで弊所がおすすめする呼び名、あだ名が、最高裁平成7年4月28日判決=オリジナル命名:最高裁平成7年積極的な隠蔽なしの無申告だが当初から過少申告の意図を外部からうかがい得る特段の行動をした判決、です。
「最高裁平成7年4月28日判決」と暗記しても「この判決ってどんな内容だったっけ?」となれば意味がなく、また暗記しにくいです。しかし、「最高裁平成7年積極的な隠蔽なしの無申告だが当初から過少申告の意図を外部からうかがい得る行動した判決」と暗記すれば、「あー全く無申告のやつか」となります。また「当初から過少申告の意図を外部からうかがい得る行動」という言葉はよく出てきます。
最高裁平成7年4月28日判決の内容
・下記においては原文を大幅に編集しておりますのでご注意ください。
事案の概要
・Xは株売買による所得を全く申告しませんでした。
・課税庁はXに重加算税の賦課決定をしました。
・Xは二重帳簿の作成や資料の隠匿等の積極的な行為はありませんでした。
・Xは取消訴訟を提起しました。
判決
◎重加算税の賦課要件を提示した
・重加算税を課するためには、納税者のした過少申告行為そのものが隠蔽、仮装に当たるというだけでは足りず、過少申告行為そのものとは別に、隠蔽、仮装と評価すべき行為が存在し、これに合わせた過少申告がされたことを要する。
・架空名義の利用や資料の隠匿等の積極的な行為が存在したことまで必要であると解するのは相当でない。
・納税者が、当初から所得を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたような場合には、重加算税の右賦課要件が満たされる。
◎判断内容
・Xは、3箇年にわたって、株式等の売買による前記多額の雑所得を申告すべきことを熟知しながら、あえて申告書にこれを全く記載しなかった。
・顧問税理士から、その都度、同売買による所得の有無について質問を受け、資料の提出も求められたにもかかわらず、確定的な脱税の意思に基づいて、右所得のあることを同税理士に対して秘匿し、何らの資料も提供することなく、同税理士に過少な申告を記載した確定申告書を作成させ、これを課税庁に提出した。
以上から、重加算税の賦課要件を満たすとしました。
まとめ
・最高裁判例は法律レベルの拘束力を持つ
・最高裁が積極的行為は無く無申告の場合の判断を示した
・税理士谷原誠が当該判例から積極的行為が無い場合の<谷原誠ルール1>及び<谷原誠ルール3>を導き出している。