(2023年7月26日作成)
令和5年(2023年)10月1日からインボイス制度が開始します
インボイスという言葉はもはや有名でみなさんご存じかと思われます。そしてよく議論として言われるのが「売上1,000万以下の消費税免税事業者に対するいじめ、いやがらせである」という議論です。確かにその側面もあるでしょう。しかし、私は、このほかにも隠れた税務署の狙いがあると見ております。それは、
無申告者のあぶり出し
これであると思います。下記で説明いたします。
インボイス導入前は、外注元、支払者は、外注先、支払先が申告しているかどうかなんて無関係でした
すぐさま思いつく具体例として
・フリーランス、個人の大工職人が口約束の契約で外注請負で得た対価として現金を受け取る
・風俗嬢、キャバクラ嬢、ホステス、ホストが、口約束の契約で外注請負で得た対価として現金を受け取る
のような例です。この場合、外注元、支払者は、外注費として計上するのですが、
・支払いの事実さえあれば、所得税法上及び法人税法上は外注費計上としてなんら問題ない
・消費税法上も、仕入れ税額控除の要件を満たす簡易なものが資料としてあれば問題なかった
つまり支払い相手が確定申告書提出義務を果たしているかどうかは興味がありませんでした。しかし、外注元、支払者が消費税原則課税方式による仕入れ税額控除を行うためには、インボイス制度を満たす請求書等の保存が必要となります。従って、外注先、支払先である相手がインボイス登録事業者かどうか気になる、ということになります。
インボイス登録事業者として登録申請する=税務署に自身の存在を知らせる=無申告ではいられない
という事態に、無申告者は直面することになります。
インボイス登録事業者として登録申請する=税務署に自身の存在を知らせる=無申告ではいられない=無申告者のあぶり出し
この裏テーマを税務署は持っているというのが弊所の見解となります。
無申告者はインボイスにより2つの側面から問題を抱えることになる
・無申告者の売上面に対するインボイスの影響
・無申告者の仕入・経費面に対するインボイスの影響
事業者は当然、売上活動、と仕入る活動を両方行っておりますので、その両方からの影響があります。
無申告者の売上面に対するインボイスの影響
インボイス制度導入後は、無申告者の売上先、販売先から、
・インボイス番号を取得して番号を教えてください
・インボイス番号を取得しない場合は消費税分の値引きをお願いします
・契約交渉の結果合意できない場合は今後は取引中止します
上記のようなことを伝えられるかもしれません。
インボイス登録事業者として登録申請する=税務署に自身の存在を知らせる=無申告ではいられない
となると思われます。その場合は、弊所にご相談ください。
無申告者の仕入・経費面に対するインボイスの影響
無申告者がインボイス制度をきっかけとして無申告状態を解決し、申告を始める場合はいくつかのパターンが考えられます。
・これまで無申告者で売上1,000万円以下だからインボイス登録をせずに消費税免税事業者のまま確定申告を始める
・これまで無申告者で売上1,000万円超であるから又はインボイス登録により消費税原則納税義務者として確定申告を始める
・これまで無申告者で売上1,000万円超であるから又はインボイス登録により消費税簡易課税納税義務者として確定申告を始める
これまで無申告者で売上1,000万円以下だからインボイス登録をせずに消費税免税事業者のまま確定申告を始める
この場合の仕入・経費の帳簿での留意点は下記です
・レシート領収書請求書等はしっかり保存する
・保存したレシート領収書請求書等がインボイス要件を満たすかどうかは影響がない
これまで無申告者で売上1,000万円超であるから又はインボイス登録により消費税原則納税義務者として確定申告を始める
この場合の仕入・経費の帳簿での留意点は下記です
・レシート領収書請求書等はしっかり保存する
・保存したレシート領収書請求書等がインボイス要件を満たすかどうか影響がある。場合によっては支払先にインボイス登録事業者になるように交渉する
これまで無申告者で売上1,000万円超であるから又はインボイス登録により消費税簡易課税納税義務者として確定申告を始める
この場合の仕入・経費の帳簿での留意点は下記です。なぜなら、消費税簡易課税制度は、売上高にみなし仕入れ率を乗じて消費税額を算出するため、仕入れ税額控除の要件は不要だからです。
・レシート領収書請求書等はしっかり保存する
・保存したレシート領収書請求書等がインボイス要件を満たすかどうかは影響がない
過少申告かつ偽りその他不正の行為、隠ぺい仮装に心当たりがある方で調査通知があった方、あきらめないでください、調査通知後から調査日の前日までに自主修正申告をすれば重加算税を回避できることが国税通則法第68条1項に定義づけられています!(こちらの解説ページをご参考ください)
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