(2023年4月20日作成)(2024年5月16日再編集)
結論
・個人事業主は累進課税で所得税及び住民税合計の税率は50%を超えるから法人税のほうが安い、とよく言われますが、反対に累進課税により、ある程度の所得までであれば個人事業主のほうが税負担が低い傾向にあります。
・仮に無申告個人事業主と無申告法人において、同額の売上高かつ経費0円とした場合、無申告法人のほうが税負担が高額となります。
・原因は、役員報酬計上による法人の法人所得の圧縮がなく、そのまま税率が課税されるためです。比較表により一目瞭然となります。
・無申告法人は、役員報酬の計上を失念しないことが重要と解されます。
・無申告法人の役員報酬の計上は、明確な規定は存在しないものの、許されると解されます。
下記で詳細を記述します。
一般的に法人が個人事業主より節税となると言われているのは、法人の利益所得を役員報酬へ変換後、役員報酬が給与所得控除を受けるという2段階方式であるためです。その役員報酬への変換がない場合は、、、、
無申告法人は追徴本税がそもそも高額となりそれに伴い加算税も高額となる恐れがある比較表 | ||||||
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無申告個人事業主 | ||||||
無申告売上金額 | 経費0円とした所得 | 所得税 | 住民税 | 所得税及び住民税合計 | ||
4,000,000 | 4,000,000 | 282,300 | 359,500 | 641,800 | ||
無申告法人(役員報酬0円) | ||||||
無申告売上金額 | 経費0円とした所得 | 法人税及び地方税 | 法人事業税 | 法人道府県民税 | 法人市民税 | 法人税等合計 |
4,000,000 | 4,000,000 | 661,800 | 191,800 | 26,000 | 86,000 | 965,600 |
無申告法人(役員報酬400万円) | ||||||
無申告売上金額 | 経費役員報酬400万円とした所得 | 法人税及び地方税 | 法人事業税 | 法人道府県民税 | 法人市民税 | 法人税等合計 |
4,000,000 | 0 | 0 | 0 | 20,000 | 50,000 | 70,000 |
代表者役員報酬400万に対する税金 | ||||||
役員報酬 | 所得税 | 住民税 | 所得税及び住民税 | |||
4,000,000 | 133,200 | 235,500 | 368,700 | |||
無申告法人(役員報酬400万円) | 代表者役員報酬に対する所得税及び住民税 | 無申告法人(役員報酬400万円)の税金及び役員の税金の合計 | ||||
70,000 | 368,700 | 438,700 | ||||
まとめ比較 | ||||||
無申告個人事業主 | 641,800 | |||||
無申告法人(役員報酬0円) | 965,600 | |||||
無申告法人(役員報酬400万円) | 438,700 |
(表1)比較表
・前提条件
◎税務調査官から無申告売上400万円を指摘された
◎しかし、費用経費に関する資料が存在せず経費0円とした場合
無申告個人事業主の税負担の合計→641,800円
無申告法人の税負担の合計→965,600円
法人で活動した方が増税となっています。この原因は、役員報酬が未計上であるためです。そのため、無申告売上と同額の役員報酬を計上することとします。なお下記で後述しますが、当該遡及的な役員報酬の計上は可能と解されます。
無申告法人かつ役員報酬を計上した場合の税負担の合計額→438,700円
となります。原因は、まず法人所得は役員報酬により相殺され0円となり、役員報酬400万円については無条件で発生する給与所得控除が存在することによる税負担の軽減です。
以上から
無申告法人はまず経費として役員報酬を失念しないことがとても重要となります。
無申告法人の場合過去の役員報酬を遡及して主張することになるが、無申告法人の支給の形跡がない、未払い、定時株主総会決議の議事録がない役員報酬を遡及して発生があったと主張することは認められるのか?違法ではないのか?という点につきまして
結論
明確な結論はないが、未払いであった役員報酬を遡及的に主張することは認められると解して問題ないと思われます。
以下で根拠を解説します。
根拠
・法人税法上の役員報酬の規定は定期同額給与であれば認められるされており(事前確定届出給与、利益連動給与は割愛する)、支給されていなければならない、未払い計上は認められない規定は見受けられません。
・毎期の株主総会で役員報酬が決定されなければならないが、その議事録がなければ認められないという規定も見受けられません。
・もし仮に認められないとするならば無申告法人の追徴課税金額が高額となる事例が頻発し、当該論点はもっと有名な論点として周知されているはずだが、そのようには感じられない。
以上から、おそらく税務調査初日の前日までの期限後申告や、調査開始後における反論においても未払いの役員報酬が認められているのではないかと推測されます。
税理士に頼まず自力で調査日の初日の前日までに期限後申告する方、ご自身のみで税務調査を受けられる方へ
・調査日の初日の前日までに期限後申告する方は、役員報酬の計上を失念しないようにしましょう。
・ご自身のみで税務調査を受けられる方は、税務調査の場において役員報酬計上の主張を失念しないようにしましょう。
過少申告かつ偽りその他不正の行為、隠ぺい仮装に心当たりがある方で調査通知があった方、あきらめないでください、調査通知後から調査日の前日までに自主修正申告をすれば重加算税を回避できることが国税通則法第68条1項に定義づけられています!(こちらの解説ページをご参考ください)
税務署から電話があっても慌てないでください!調査開始前であればまだ対応策は残されております。弊所にご連絡ください!