結論:税務署から調査通知の電話が来ただけで告発(≒逮捕)の心配は不要と思われますので、落ち着きましょう
このホームページにたどり着かれた方の中には、税務署から調査通知の電話が来たためにパニックになってしまっておられる方もおられるかもしれませんが、まず落ち着いて下記のパターンをご自身に当てはめてみてください。
①毎期適切に申告しているが税務署から調査通知の電話が来た方→告発(≒逮捕)はまずありえません。また税務調査があっても申告是認の可能性や軽微な修正申告で終了する可能性も高いです。素直に税務調査に応じれば良いと思われます。
②ご自身の申告内容の中に、偽りその他不正の行為、隠ぺい仮装行為についての心当たりがある中で税務署から調査通知の電話が来た方→この場合も告発(≒逮捕)の可能性は低いです。当該ケースであっても重加算税を含む追徴課税を支払えば終了すると思われます。
③ご自身が無申告である自覚がある中で税務署から調査通知の電話が来た方→この場合も告発(≒逮捕)の可能性は低いです。当該ケースであっても無申告加算税を含む追徴課税を支払えば終了すると思われます。
④国税査察部(マルサ)からの強制捜査が無予告で来た方→当該ケースは告発(≒逮捕)の可能性が高いです。弊所は対応できかねます。弁護士へご相談ください。
告発(≒逮捕)される税務調査は0.036%?(弊所独自の算出による見解)
平成30年税務調査(相続税・源泉所得税除く) | 特別・一般実地調査(件) | 着眼実地調査(件) | 合計(件) |
---|---|---|---|
所得税 | 50,130 | 23,449 | 73,579 |
個人消費税 | 28,504 | 9,919 | 38,423 |
法人税 | - | - | 99,000 |
法人消費税 | - | - | 95,000 |
306,002 | |||
平成30年税別告発件数 | 告発件数 | 相続税・源泉所得税除く | 告発件数(相続税・源泉所得税除く) |
所得税 | 14 | 14 | |
法人税 | 55 | 55 | |
相続税 | 1 | -1 | 0 |
消費税 | 41 | 41 | |
源泉所得税 | 10 | -10 | 0 |
121 | 110 | ||
告発件数(相続税・源泉所得税除く) | 平成30年税務調査(相続税・源泉所得税除く)合計 | 実地税務調査のうち告発される確率(弊所独自の算出) | |
110 | ÷ | 306,002 | 0.036% |
上記の表を見ると平成30年の税務調査(相続税・源泉所得税除く)の実地調査は306,002件であり、平成30年の告発件数(相続税・源泉所得税除く)は110件です。したがって
110件÷306,002件=0.036%
となり、実地調査が行われる税務調査の中で告発・逮捕されるようなものは0.036%となり、以上からよほど悪質又は高額の脱税でなければ逮捕はありえない、ということになります。
脱税逮捕される脱税金額の目安は?(弊所独自の算出による見解)
着手・処理・告発件数、告発率の状況及び脱税額の状況
着手・処理・告発件数・告発率の状況 | 平成26年度 | 平成27年度 | 平成28年度 | 平成29年度 | 平成30年度 |
---|---|---|---|---|---|
着手件数 | 194件 | 189件 | 178件 | 174件 | 166件 |
処理件数(A) | 180件 | 181件 | 193件 | 163件 | 182件 |
告発件数(B) | 112件 | 115件 | 132件 | 113件 | 121件 |
告発率(B/A) | 0.622 | 0.635 | 0.684 | 0.693 | 0.665 |
脱税額の状況 ※脱税額には加算税を含む | 平成26年度 | 平成27年度 | 平成28年度 | 平成29年度 | 平成30年度 |
脱税額総額 | 14,975百万円 | 13,841百万円 | 16,106百万円 | 13,509百万円 | 13,999百万円 |
脱税額1件当たり | 83百万円 | 76百万円 | 83百万円 | 83百万円 | 77百万円 |
脱税額告発分 | 12,346百万円 | 11,204百万円 | 12,692百万円 | 10,001百万円 | 11,176百万円 |
脱税額告発分1件当たり | 110百万円 | 97百万円 | 96百万円 | 89百万円 | 92百万円 |
税目別の告発件数及び税目別の脱税額並びに税目別の告発された1件当たりの脱税額(弊所オリジナル)
イ税目別の告発件数 ※消費税内書は消費税受還付事案 | 平成26年度 | 平成27年度 | 平成28年度 | 平成29年度 | 平成30年度 | |
---|---|---|---|---|---|---|
所得税 | 18件 | 25件 | 27件 | 19件 | 14件 | |
法人税 | 69件 | 69件 | 79件 | 61件 | 55件 | |
相続税 | 2件 | 5件 | 2件 | 3件 | 1件 | |
消費税 | (内5件)13件 | (内6件)12件 | (内11件)23件 | (内12件)27件 | (内16件)41件 | |
源泉所得税 | 10件 | 4件 | 1件 | 3件 | 10件 | |
合計 | 112件 | 115件 | 132件 | 113件 | 121件 | |
ロ税目別の脱税額 ※脱税額には加算税を含む | 平成26年度 | 平成27年度 | 平成28年度 | 平成29年度 | 平成30年度 | |
所得税 | 1,829百万円 | 3,092百万円 | 2,282百万円 | 1,950百万円 | 1,268百万円 | |
法人税 | 7,534百万円 | 5,687百万円 | 6,503百万円 | 5,645百万円 | 4,470百万円 | |
相続税 | 487百万円 | 1,090百万円 | 482百万円 | 387百万円 | 241百万円 | |
消費税 | 1,130百万円 | 1,049百万円 | 3,379百万円 | 1,768百万円 | 3,894百万円 | |
源泉所得税 | 1,366百万円 | 286百万円 | 46百万円 | 251百万円 | 1,303百万円 | |
合計 | 12,346百万円 | 11,204百万円 | 12,692百万円 | 10,001百万円 | 11,176百万円 | |
ハ(イ/ロ)=税目別の告発された1件当たりの脱税額(弊所オリジナル)※脱税額には加算税を含む | 平成26年度 | 平成27年度 | 平成28年度 | 平成29年度 | 平成30年度 | 平成26~30年度平均※脱税額には加算税を含む |
所得税 | 1.02億円 | 1.24億円 | 0.85億円 | 1.02億円 | 0.91億円 | 1.01億円 |
法人税 | 1.09億円 | 0.82億円 | 0.82億円 | 0.93億円 | 0.81億円 | 0.89億円 |
相続税 | 2.43億円 | 2.18億円 | 2.41億円 | 1.29億円 | 2.41億円 | 2.14億円 |
消費税 | 0.87億円 | 0.87億円 | 1.47億円 | 0.65億円 | 0.95億円 | 0.96億円 |
源泉所得税 | 1.37億円 | 0.72億円 | 0.46億円 | 0.84億円 | 1.30億円 | 0.94億円 |
税目別の告発された1件当たりの脱税額(弊所独自の算出による見解)は逮捕されるかどうかの一応の目安になるかもしれません。
・所得税→1億円程度(加算税を含む)
・法人税→9千万円程度(加算税を含む)
・消費税→9千5百万円程度(加算税を含む)
重加算税率35%のみであったと仮定して、あくまで概算で本税のみを算出すると
・所得税→1億円程度×(100%/135%)=7千4百万円程度(あくまで概算の本税)
・法人税→9千万円程度×(100%/135%)=6千6百万円程度(あくまで概算の本税)
・消費税→9千5百万円程度×(100%/135%)=7千万円程度(あくまで概算の本税)
となります。
しかし、メディア等で報道される脱税金額が上記の金額より高額でも脱税逮捕されていないケースもたくさんありますので、あくまで一つの目安とお考え下さい。
告発の多かった業種
業種 | 者数 | 業種 | 者数 | 業種 | 者数 | 業種 | 者数 | 業種 | 者数 |
不動産業 | 16 | 建設業 | 15 | 建設業 | 30 | 建設業 | 26 | 建設業 | 28 |
クラブ・バー | 10 | 不動産業 | 12 | 不動産産業 | 10 | 不動産業 | 10 | 不動産業 | 14 |
建設業 | 8 | クラブ・バー | 7 | 金属製品製造 | 5 | 人材派遣 | 5 | 人材派遣 | 5 |
運送業 | 4 | 機械器具卸 | 6 | 商品、株式取引 | 5 | - | - | クラブ・バー | 4 |
広告業 | 4 | - | - | 運送業 | 4 | - | - | - | - |
告発(≒逮捕)が、平成27年度~平成30年度まで建設業及び不動産業が独占しております。
①業種的に取引額が大きいためそれに比例して脱税金額も大きくなるためと思われます。
②業界的に架空人件費が多いと言われているためと思われます。
無申告ほ脱告発件数
無申告ほ脱事案 | 平成26年 | 平成27年 | 平成28年 | 平成29年 | 平成30年 |
---|---|---|---|---|---|
単純無申告ほ脱犯(※1)(故意の申告不提出によるほ脱犯)告発件数(件) | 2 | 1 | 6 | 8 | 10 |
虚偽無申告ほ脱犯(※2)告発件数(件) | 9 | 12 | 11 | 13 | 8 |
合計 | 11 | 13 | 17 | 21 | 18 |
(※1)例:私設ファンクラブの運営利益を一切申告しなかった等。 | |||||
(※2)例:他人名義でFX取引を行い一切申告をしなかった等。 |
注目すべきは単純無申告ほ脱犯が、平成30年度において初めて10件に到達しました。単純無申告ほ脱犯とは、故意の申告書不提出によるほ脱犯で、悪質性の高い無申告に厳正に対処するため、平成23年に創設され、平成26年度に初めて告発されました。
つまりこれまで単純無申告は、単純無申告がゆえに積極的な偽りその他不正な行為や隠ぺい・仮装行為を認定しづらいがために告発逮捕されにくいという性質のものでした。しかしながら、申告納税制度の根幹を揺るがしかねないということで近年、無申告事案については厳しい捜査が行われているようです。
申告漏れや不正計算が多い業種と告発の多かった業種の対応表(弊所オリジナル)
申告漏れ所得金額、不正発見割合、不正所得金額の業種別順位と告発の多かった業種別順位の対応表(弊所オリジナル)平成30事務年度 | 事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な業種(個人) | 不正発見割合の高い業種(法人) | 不正1件当たりの不正所得金額の大きな業種(法人) | 告発の多かった業種 |
---|---|---|---|---|
1位 | 風俗業 | バー・クラブ | 輸入 | 建設業 |
2位 | キャバクラ | 外国料理 | その他の化学工業製造 | 不動産業 |
3位 | 経営コンサルタント | 大衆酒場、小料理 | 産業用電気機械器具製造 | 人材派遣 |
4位 | システムエンジニア | その他の飲食店 | パチンコ | クラブ・バー |
注目すべきは、事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な業種(個人)としてキャバクラは2位、不正発見割合の高い業種(法人)としてバー・クラブは1位にも関わらず、告発の多かった業種としてクラブ・バーは4位ということです。
過少申告かつ偽りその他不正の行為、隠ぺい仮装に心当たりがある方で調査通知があった方、あきらめないでください、調査通知後から調査日の前日までに自主修正申告をすれば重加算税を回避できることが国税通則法第68条1項に定義づけられています!(こちらの解説ページをご参考ください)
税務署から電話があっても慌てないでください!調査開始前であればまだ対応策は残されております。弊所にご連絡ください!